ついに堪忍袋の緒が切れる

義祖父は同居を拒んだ七瀬さんが気に入らないらしく、夫がいないところで嫌みを言った。

長男が小学生になるタイミングで七瀬さん夫婦は家を建てて出て行こうとしたが、またもや義家族全員から猛反発を食らう。

「義祖父母の娘で義父の妹である義叔母は、自分でマンションを買って一人暮らし。義妹は長男に嫁いだのに義両親とは別居で、義父がマンションの代金をほとんど出していました。それなのに、私たちだけ反対されることに納得がいきませんでした」

義家族たちは長男だけ特別扱い。「お前はこの家の跡取りなんだから、家事なんてしなくて良い」と教えていた。

「私は長男だからやらなくて良いなんて思わないので、長男にも手伝いをさせたら、義祖父に怒られました。『私の子なので余計なことを言わないでください!』と反抗しましたが、義祖父は嫁が一家の長たる自分に逆らうなんて許せないみたいでした」

やがて、子どもたちが自分の部屋を欲しがり始めた。空いている部屋を使おうとしたところ、「義弟と義妹の部屋だからダメだ!」と言われる。

ついに七瀬さんの堪忍袋の緒が切れた。離婚届を部屋に置き、子どもたちを連れて同じ町内にある自分の実家に帰る。子どもたちを50代の両親に預けてアパートを探し、その日のうちに契約。七瀬さん27歳、長男6歳、長女5歳、次男3歳のときだった。

その夜、仕事から帰宅した夫は離婚届を発見すると、すぐに七瀬さんの実家に来て頭を下げ、七瀬さんと子どもたちとの生活を選んだ。

ところが、家族5人での平穏な生活は長くは続かなかった。

●家族5人の家を出て実家へ戻ることに。その理由とは? 後編【「いい加減にして!」義家族のダブル介護に夫のモラ化…50代女性が達した我慢の限界】で詳説します。