農家の長男と結婚、そして死別

中国地方在住の鈴木愛子さん(60代・既婚)は、高校を出て会社員をしていた頃、友だちの紹介で農家の長男である3歳年上の男性と出会った。その男性と25歳で結婚した鈴木さんは、農業に関して全くの素人。義両親だけでなく、義祖母と、高校を卒業したばかりの義妹とも同居することになったが、がむしゃらに農業や家事を覚えた。

一方、この家の一人娘として生まれた義母は、22歳の時に義父を婿養子として迎えていた。外で働いたことのない義母は、女王様のようだった。

鈴木さんが同居し始めた頃は、まだ義祖母が健在で、義母も義祖母もろくに家事をせず、義父に命令して何もかもやらせていた。自己中心的で、誰の言うことにも耳を貸さない義母は、義父や自分の子どもたちからも疎まれていた。

「夫と義母は意見が合わず、毎日のようにけんかばかり。男気のある夫は私を、義母や義きょうだいから守ってくれていましたし、義父も私も外から来た者同士、助け合っていました」

翌年に長女、その2年後に長男、さらに1年後に次男に恵まれ、忙しいながらも充実した生活を送っていた鈴木さんだったが、結婚から約30年たった2012年の初夏、59歳の夫は田植えが終わったその夜に倒れ、救急搬送。そのまま入院となり、約1カ月半後に亡くなった。死因は肝硬変。夫は若い頃からお酒が大好きだった。