義きょうだいとの確執

2020年4月。義父が93歳で急死した。義母との農作業中、ふらついて川に落ちての溺死だった。

義父は少し前から「しんどい、しんどい」と言って横になることが増えていた。「なんでもっと早く気付かなかったのだろう」と鈴木さんは悔やんだが、泣いている暇などなかった。警察に事情聴取されている耳の遠い義母のサポートをしなければならなかったのだ。

事情聴取から解放されると、ようやく義姉、義弟、義妹に連絡できた。

「世帯主の義父が亡くなって、町内のことは誰も分からなくなりました。お嬢さま育ちで世間知らずな義母は、この土地に80年住んでいるのに何も分かりません。私はコロナ禍のお葬式の仕方が分からず、分からない尽くしの状態なのに、案の定、外野である義きょうだいがうるさく口出しして来ました」

義父が亡くなった翌日から、義兄(義姉の夫)が毎日家に来るようになった。

「義兄は、まるで自分がこの家のあるじになったかのように威張り始めました。私は義兄の車を見ただけで動悸がして血圧が高くなり、通院するようになりました……」

義きょうだいたちは、義父の死後のバタバタに紛れて、義父名義になっていた土地をすべて、義母名義に換えてしまった。

「親族での話し合いも詳しい説明もないまま、突然来て書類だけよこして、『ここに印鑑を押して』と言うので、義母やわが家の子どもたちは、細かい確認をする間もなく印鑑を押してしまっていたのです」

●そして苦手な義母の介護が始まる。思いがけず関係性が変化して……。
続きは、後編【「今まで悪かった」意地悪な義母の態度が一転…60代女性が起こした奇跡】で解説します。