後継者を認められない義母
その後も鈴木さんは、80代の義両親、30代シングルマザーの長女とその小学生の息子、30代の長男夫婦と幼児2人、30代介護福祉士の次男の9人と同居していた。
鈴木さんは家族全員のための家事をしながら、農家を継いだ長男の手伝いのほか、次男が不登校になってから20年続けている不登校支援のボランティアをし、夕飯後は工場で働き、時間を見つけては自分が好きな野菜を育てるなどして暮らしていた。
夫の死後、義父は鈴木さんの長男の意志を確認し、この家と農業の後継者を鈴木さんの長男に決めた。
ところが、後継者を相談なく決められたことが面白くなかった義母は、鈴木さんの長男のみならず、長男の妻やその子どもまでを毛嫌いし、あからさまに避けたり嫌みを言ったりするように。すると義父は、今まで以上に鈴木さんや孫たちを、義母や義きょうだいたちから守ってくれるようになった。
もともと義両親は、子どもたちの相続争いを避けるために、長男である鈴木さんの夫を跡継ぎと決め、義姉や義妹は嫁に出し、義弟は婿養子に出していた。
しかし、長男である鈴木さんの夫が亡くなってしまうと、義父は、「わしが死んだら絶対に長女夫婦が財産を取りに来る。だから遺言を作っておく」と言って司法書士に相談に行こうとした。だが、その度に義母に止められた。
「義母は、義父が自分より私や孫をかわいがることが気に入らなかったのでしょう。近くに住む義姉や義兄(義姉夫)の言いなりになって義父を止めていました」