中国地方在住の鈴木愛子さんは、会社員をしていた頃、友だちの紹介で農家の長男である男性と出会い結婚した。結婚から約30年たったある日、59歳の夫は田植えが終わったその夜に倒れ、1カ月半後に亡くなった。その後、親切にしてくれた義父も亡くなったことで、義母や義きょうだいと相続の問題で確執が深まっていった。

●「ここに印鑑を押して」説明もないまま土地の名義を換えられ…
※前編【農家へ嫁ぎ夫と死別…60代女性が義実家で受けた“あり得ない”仕打ち】からの続き

押し付けられて始まった義母の介護

義父の死後も義母は相変わらず傍若無人に振る舞い、鈴木さんたちに、「私に介護が必要になっても、看てくれんでもええ」と言い切っていた。

「あの頃は、農家の後継者として頑張っている長男に対して悪口を言う義母が許せず、『誰が義母の介護なんかするか!』と思っていました」

当初は義兄が、「義母の面倒は義姉が看る」と言っていたため、「それならその方が義母にとって幸せだろう」と鈴木さんは思った。

すると今度は義弟から、「介護しないならこの家から出て行ってくれ」と言われ、義母も一緒になって鈴木さんたちを追い出しにかかった。

ところが、2022年初夏。もともと糖尿病や腎臓病もある義母は、90歳を超えると坂道を転げ落ちるように身体が弱っていった。92歳になると要介護1から要介護4に。

いつしか鈴木さんや鈴木さんの家族たちは、自然に義母をサポートしていた。