母親が教えてくれたこと

現在、生みの祖母の墓は、生みの祖母の一族たちの墓と同じ寺院にある。

「私としては、同じお寺に一族が揃っているのだから、生みの祖母のお墓も親族の中の誰かが墓守りしてくれれば無縁仏になることはないと思っています。でも、生みの祖母のお墓にはもう誰も入ることはないので、私の娘の負担を減らすためにも墓じまいしたほうがいいと思うのですが、一族が許してくれるかわかりません。祖母の養女になっていたSさんの嫁が墓守りしてくれたら良いのですが、遺産相続を終えた後、お付き合いは断絶しています……」

30代で自分の死後のことを見通し、現在1歳にもならない娘の負担まで考えて動く母親はなかなかいない。

「母が私を想ってしてくれたように、私も娘には、私がこの1年で経験した認知症介護や施設、葬儀やお墓、親戚等に関する悩みや負担を絶対に与えないように、母よりもさらに早めに準備しようと心に決めています」

それもこれも、母親が最期に身をもって教えてくれたことなのかもしれない。