最愛の母親の葬儀を終えた春日暁美さん(30代・既婚)。遺骨は生前の母親の「絶対に育ての両親のお墓に入りたい」という希望通りA寺のお墓に納骨する予定だったが、想定外のトラブルが起こる。夫との話し合いの結果、A寺の墓じまいを行って新たな共同墓地を契約することに決めた。

●前編:【養子だった母を看取った30代女性…「納骨」をめぐるトラブルで迫られた選択】

寺業界のローカルルールに絶句

ところが、墓じまいするにもスムーズには行かなかった。墓じまいを依頼する石屋は、A寺と付き合いのある1社しかNGと言われたのだ。

しかも、紹介された石屋を調べようにもホームページもなく、住所も知らされていないためどこにある業者なのかも不明。仕方なくA寺から聞いた電話番号に連絡してみたところ、突然「費用は30~35万です」と言われ、春日さんは絶句。思わず「見積りは? 業者も選べず相見積もりもとれず、言い値ですよね?」と返すと、「見積りを出すとなると、高い方の料金である35万になってしまいます」と平然と言い放つ。

「せめて10万円ほどだと思っていたので驚きましたし、見積もりを出すと高くなると言われ、話にならないなと呆れました。墓じまいの相場を夫とネットで調べたところ30万ほどだったので、ぼったくられているわけではないと思って諦めました。仕方ないです」

1月末。「4月の復職までにすべて終わらせたいので、急ぎでお願いします」と言い、A寺から紹介された石屋に墓じまいを依頼。

だが3月になっても音沙汰がない。しびれを切らした春日さんが問い合わせると、「職人がケガをしたので3カ月くらい作業できないかも」と平気で言われ、さすがに頭にきた春日さんが「私は3月末までに納骨したいと伝えましたよね?」と督促すると、ようやく4月下旬から動き出した。

「寺業界のローカルルールに翻弄されまくった感じです。寺家系の夫も、『これじゃ全国の寺はなくなっていくわけだ』と呆れ果てていました」