墓じまいにかかった費用

現地調査をしたあと石屋は、「新しいお墓なので作業が大変」「お骨の下に土葬があるかどうかも掘り起こして確認しないといけない」と連絡してきた。

育ての祖母が亡くなったとき、春日さんはまだ生まれていなかった。育ての祖母の死後、育ての祖父と母親とで建てた墓なので、まだ40年ほどしか経っていない。石屋は“新しい墓”と表現したが、春日さん的には、「40年で新しいのか……」「土葬の有無なんて建てる前に確認してるはずでしょう?」と面食らった。

結局、墓じまいにかかった費用は、石屋に30万。育ての祖父母2人の遺骨を受け取る日にお別れの法要を行うということで、A寺にお布施を2万。新しく契約した合同墓に、育ての祖父母と母親の3人分で90万円払った。

春日さんはお布施の相場的には2万は少ないと分かっていたが、「どうせこれで縁が切れるんだから」という夫のアドバイスに従った。

残された生みの祖母の墓問題

これで母親と育ての祖父母の墓問題は解決したが、春日さんにはまだ生みの祖母の墓問題が残っていた。

生みの祖父母が生まれたばかりの母親を手放した理由は、春日さんは詳しくは知らなかった。ただ、生みの祖母は、離婚した後、母親が祖父の家で育てられていると思っており、養女に出されていることを知らなかったらしく、探偵に母親を見つけ出してもらい、再会を果たしたときは泣いていたという。どうやら、「資産家の生まれである生みの祖父が、親に逆らえず祖母と母を捨てたのではないか」という話は聞いていた。

生みの祖母は祖父との離婚後、独身で定年まで航空会社の経理職をしており、その年代の女性にしては資産があった。

再会後、母親は生みの祖母と親しく交流を続けた。生みの祖母は加齢により体調を崩すようになると、自らサービス付き高齢者向け住宅に入所。母親は父親とともに足繁く面会に通い、最期を看取った。

すると、生みの祖母の死後、「(生みの祖母の)弟Sとその嫁、春日さんの母親の3人に均等に相続させる」という遺言の存在が判明。

「祖母は妹1人、弟2人の4人きょうだいです。そのうちのTさんという弟さんとは家族ぐるみでお付き合いさせていただいていました。そのTさんも母も、遺言の存在も内容も知らされておらず、祖母の死後初めてTさんでないもう1人の弟のSさんの嫁が祖母の養女になっていたことを遺言書で知り、大問題になったようです。どうやらSさんと嫁が祖母の遺産を騙しとるために嫁を養女にしたのでは……と言われています」

生みの祖母が亡くなったとき、すでにSさんは亡くなっており、真相は不明。祖母の遺産はその嫁と母親とで分けることになった。