そして見つけた新たなやりがい

そうしてHさんは行政書士の仕事をご自身の柱としてこなす一方で、知人から勧められたことをきっかけに、“家庭裁判所の調停委員”も務めることになりました。

「この仕事も、双方の話を傾聴し解決策を見いだしていくという点で、今までの人生経験が役立っています。人のためになっているという実感があるので、やりがいがありますね」

仕事の楽しさを語るHさんの表情は、生き生きと輝いていました。

Hさんの事例から学ぶこと

行政書士と家庭裁判所の調停委員という2つの仕事を通じて、現役時代の新聞記者とはまた違う世界を垣間見ているHさん。その経験談からは多くの学びが得られます。

始めるタイミングは「今」が一番早い

Hさんは、定年前から具体的なセカンドキャリアのプランを立てていたわけではありませんが、退職後に働くことを決めてから、次々と行動を起こしました。

準備をしていなくても、やろうと決めたその時点から始めればいい。まずは行動することが大切で、そこからさまざまな縁が生まれ、意外な展開が開けることもあるのです。

定年後の学びは楽しい

行政書士の道を目指して、独学のみならず専門学校にも通ったHさん。シニアだからこそ、何かを学び継続することは大切です。

それによって知的好奇心が生まれ、やらされて勉強をする学生時代とは違って、興味のあることを学ぶという、本当の楽しさを経験できます。

孤独にならない環境に身を置くことは大事

Hさんの場合、同業者には同年代も多く、日頃から顧客との付き合いもあるので、常に人との関わりを感じています。人との出会いが刺激になって生活に張りが生まれれば、孤独でない楽しい日々を送ることができます。

経験が活きる仕事にはやりがいがついてくる

行政書士や家庭裁判所の調停委員といった、新聞記者とは一見関連性がなく見える仕事でも、Hさんは現役時代の人生経験が大いに役立っていると感じています。

定年後にどんな仕事についても、過去の経験や知識は決して無駄にはなりません。仕事を通じて人の役に立っていると実感することは、定年後の人生の生きがいへとつながります。

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Hさんのように、常に前向きに考えて行動を起こすことで、先々の展開が生まれていきます。定年後の仕事探しは、決して容易な道ではなく、時に厳しく感じるかもしれません。それでも、前を向いて進み続けることで明るい未来が待っているのです。

●57歳で早期退職。再就職を目指すも数々の壁が立ちはだかり……。詳しくは【「新しい世界が見たい」57歳で決意した再就職、待ち受けていた試練】(本サイト記事)で紹介します。