一般的なマナーとして、他人に対して不躾に年齢を尋ねることが失礼にあたるのは、言うまでもありません。ただ、将来に向けての資産形成に関するさまざまな判断を行う上では、年齢は重要な要素の1つとされています(*1)

さらに、本年に49歳から52歳になる、一般に「団塊ジュニア」と呼ばれる世代については、別の切り口に基づいても専門家がその資産形成のあり方などに特に注目しているのはご存じでしょうか。例えば、社会保障制度の研究者として日本を代表する一人、清家篤氏(慶應義塾大学・名誉教授)(*2)は「団塊ジュニア世代」について、次のような指摘を行っています 。

①団塊世代(1947~1949年に毎年約270万人誕生)が75歳以上を迎える2025年問題が重要視されているが、より深刻なのは団塊ジュニア世代(1971~1974年に毎年約205万人誕生)が全員65歳以上となる2040年問題
②団塊ジュニア世代が労働市場に入ってきたときはバブル崩壊後で、非正規雇用も多く生涯賃金が低い集団
③世代別の給与額を見ても、他の世代がプラスのときでもマイナス、他の世代がマイナスのときはさらにマイナス幅が大きいという統計があり、この低さは年金額にも反映される可能性(非正規雇用者のままで国民年金にしか頼れない人が多かったり、厚生年金に加入していたとしても現役時代の平均給与が必ずしも高くなかったりする可能性)
④団塊ジュニア世代にハンディがあるのは、生涯賃金が低いだけでなく、団塊3世にあたるような、この世代を支える人口ボーナスが存在せず、2040年には労働力人口が5,500万人を割り込み(直近の6,700万人から1,000万人超もの減少)、無策のままでは社会保障制度の持続可能性が低下する懸念

そして、こうした懸念に基づいて「団塊ジュニア」世代が全員65歳以上になるタイミングを取り上げて、「2040年問題」(*3)と呼ばれていることはご存じだったでしょうか。

(*1)例えば、知るぽると「資産形成。お金にも働いてもらうという考え方」金融広報中央委員会HP、(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/choiyomi/choiyomi016.htmlを参照。
(*2)清家篤「2040年問題に備える」(アカデミア、2019年冬号 Vol.128、https://www.jamp.gr.jp/wp-content/uploads/2019/12/128_07.pdf)、同「生涯現役社会のための働き方改革と社会保障制度改革」(年金時代HP・企業年金年金数理人会創立30周年記念行事講演会・シンポジウム(要旨)、2019年6月17日、https://info.shaho.co.jp/nenkin/trend/201906/5690)、同「2040年問題に備える」(医療と社会、Vol.29 No.4 2020、https://www.jstage.jst.go.jp/article/iken/29/4/29_29-446/_article/-char/ja/)。
(*3)井潟正彦「はじめに(補論)」(「2041 年、資産形成をすべての⼈に けん引役は団塊ジュニア世代 〜8 つの Actions と 12 のアイデア〜」、投資信託協会、2022年7月12日、https://www.toushin.or.jp/statistics/Tsumiken/hokokusyo/)も参照。