各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、三井住友銀行の6月のデータをもとに解説。

三井住友銀行の投信売れ筋ランキング、2025年6月のトップは前月の第2位から「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」がトップに返り咲いた。そして、第2位には「SMBC円資産ファンド」が前月の第4位からジャンプアップした。また、「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」が第3位にとどまり、「三井住友・225オープン」が第4位、「三井住友・NYダウ・ジョーンズ指数オープン(為替ヘッジなし)」が第5位に順位を上げるなど、株式インデックスファンドの順位が上がった。また、前月は第8位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は第7位になった。

 

◆「安定」を重視するファンドの人気が高まる

三井住友銀行の売れ筋ランキングで「SMBC円資産ファンド」が第2位まで上がってきた。同ファンドは、国内資産(円資産)を対象としたバランス型ファンドで、基本的な配分比率は国内債券に50%、絶対収益型に30%、国内株式に20%となっている。債券への投資比率が高く、絶対収益型と合わせると運用資産の80%が安定収益をめざす資産に投資することから、価格変動率を抑えた運用になっているのが特徴だ。2025年6月末時点で過去1年間のリターンが1.74%とほぼ横ばいの成績だ。過去3年が6.94%、5年では12.75%になる。リスクを抑えて預金金利を上回るようなリターンを確保していくことをめざしている。

この「SMBC円資産ファンド」が実現したリターンの水準は、ランキングトップの「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」や第3位の「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」など外国株式を対象としたファンドと比較すると、大きく見劣りする。「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」であれば、過去3年で84.73%、過去5年では184.07%のリターンを獲得できている。

ただ、株式に100%投資するファンドは2024年7月、2025年4月のように、短期間で数十%も大きく下落することがある。「SMBC円資産ファンド」であれば、株式市場の急落時にも基準価額は大きく動くことなく安定的な推移が期待される。

当然、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」や「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」などと「SMBC円資産ファンド」は投資の目的が異なるファンドであるだけに、単純にリターンの水準で良しあしを考えることはできない。その前提は抑えたうえで、三井住友銀行のランキングにおいては、基準価額の変動が小さな「SMBC円資産ファンド」の人気が、2025年4月の第5位から、5月に第4位、6月は第2位と徐々に高まってきていることには注目しておきたい。