〈前編のあらすじ〉

石田道代さん(仮名・63歳)は、補整下着や化粧品の販売の会社を経営する女性。1億円近い資産を持ち、「もう働からなくてもいいか」と思う反面、仕事をしているといろいろと“しがらみ”もあるそうで、「簡単にはやめられない」と経営を続けています。

そんな道代さんに、持ちかけられた「“理論上”、確実にもうかる」投資話。道代さんとしては、投資してみたい気持ちもある一方で、「大丈夫だろうか……?」という不安もあり、FPに相談することに。

その投資話とは、「スポーツブックアービトラージ」という投資スキームのようでした。これは、グレーな要素も多い危険なスキームで、FPとしてはやめておくよう説明するほかありませんでした(詳細は前編『60代女性が持ちかけられた“グレーな投資話”「驚きのロジック」』にて解説)。

ただ、話を聞いていると、今回の相談の目的であった「スポーツブックアービトラージ」以前にも、なかなか危なげな投資に手を出していることが判明。

それはどんな投資なのでしょうか――。

さらに驚くべき事実が発覚…!

自分ひとりで長年事業を営んできた道代さんには、一般の人にはない「リスクテイカー」の側面があるようです。「高いリターンを得たいと思えば高いリスクを取るべき」という考えが根底にあることがうかがえます。

実はスポーツアービトラージの投資話の前に、道代さんは海外のオフショアファンドに5000万円ほど投資していたことが、お話をうかがっている中で発覚しました。

オフショアファンドとは、香港やシンガポールなど日本に比べて税金が安い国や地域(タックスヘイブン)で設立されたファンドを指します。多くの場合、海外の金融機関を通じて購入します。こうしたオフショア投資は日本の金融機関で海外投資信託などを買うよりも、高利回りが期待できるといわれています。

道代さんは知人の勧めで、ここでもさまざまなリスクを理解せずに始めてしまったようです。特に途中解約では元本割れするかもしれない点を後で知り、「多く預けすぎた」と後悔したのだとか。

この海外投資に関しては投資助言・代理業の会社を通じて投資しているようで、おそらく違法ではないと考えられます。しかし、このオフショアファンドの金融機関が破綻するなどのトラブルがあっても、少なくとも日本の法律での投資家保護は適用されません。また、ファンドが満期になったり売却したりして運用益が出た場合、日本において課税されます。