三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年6月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の新規設定ファンド数は26本と前月(14本)から大幅に増加し、設定総額は約1900億円と前月(約820億円)から大きく増加した。新規設定額ランキング(設定額は設定日の純資産額)でトップは、野村アセットマネジメントの「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」の約1524億円だった。新規設定額は今年最大規模になった。また、国内株式型ファンドとしては過去3番目に大きな設定額になった。また、ランキングの第2位は「ニッセイ・円建てグローバル社債/バランスファンド2025-06」(約122億円)、第4位に「明治安田グローバル債券/バイ・ザ・ディップ戦略ファンド2025-06」(約74億円)が入るなど、新規設定額上位に単位型ファンドが目立っている。

 

◆一定額以上になると「繰り上げ償還」で利益確定できる!? 単位型の魅力

新規設定額でトップの「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」は信託期間5年の単位型投信で、国内株式を主要な投資対象にしている。時価総額が大きく流動性の高い銘柄を対象とし、株価の市場感応度の高さと財務指標を用いた割安性、経営の健全性等の分析を組み合わせた評価をもとに組み入れ銘柄を決定し、時価総額等を勘案して組み入れ比率を決めてポートフォリオを構築する。そして、基準価額が12500円以上となった場合は、円建ての短期公社債等に投資を行う安定運用に切り替え、繰り上げ償還する。同ファンドシリーズとして第2弾にあたり、前回は2019年3月に設定され2021年1月に基準価額が12000円を上回ったことで同年3月に繰り上げ償還された。三菱アセット・ブレインズでは過去3番目に大きな新規設定額となった背景について、「基準価額が一定水準を超えることで自動的に利益確定が図れる商品設計や、過去の同シリーズファンドの実績が、投資家の関心を集める要因となったと考えられる」と分析している。

なお、「ニッセイ・円建てグローバル社債/バランスファンド2025-06」は、投資期間5年の単位型投信だが、複数の外貨建て投資適格社債を裏付けとして円建てで発行される債券を約5年後の満期まで保有することによって信託期間終了時の元本確保をめざすと同時に、この債券保有によって得られる利益の一部を活用してシティグループが算出する合成指数「VT7指数Ⅱ」に投資し、高いリターンの獲得をめざす。「VT7指数Ⅱ」は4つの資産(NASDAQ100指数に25%、米ドル(対円)に15%、金に10%に加え、米国国債に0%~400%機動的に変更)で構成され、年率ボラティリティが7%になることをめざして投資対象資産の投資量を調整する。この「VT7指数Ⅱ」を用いた積極運用部分が失敗したとしても元本確保は可能な仕組みにしている。

「明治安田グローバル債券/バイ・ザ・ディップ戦略ファンド2025-06」は、投資期間が約5年の単位型で、為替ヘッジをした期間5年以下の外貨建て投資適格債を満期まで保有することで償還時における元本を確保することをめざし、この債券投資から得られる利益の一部を活用して担保付スワップ取引を通じて実質的に米国株式に投資する仕組みにしている。積極運用部分が失敗しても元本確保が可能な仕組みになっている。

単位型は、NISAの対象商品ではないものの、設定のタイミング、また、限定的なリスクなどによって一定のニーズがある。特に、「ニッセイ・円建てグローバル社債/バランスファンド2025-06」や「明治安田グローバル債券/バイ・ザ・ディップ戦略ファンド2025-06」にように、元本を確保しつつプラスアルファで収益を求めるようなタイプは、投資経験のない預貯金だけで資産を保有してきた人にも受け入れやすいと考えられる。