各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、みずほ銀行の6月のデータをもとに解説。

みずほ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年6月のトップは2024年11月から8カ月連続で「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」だった。2024年11月から第2位を続けてきた「キャピタル世界株式ファンド」は第3位に後退し、第2位には5月に新規設定された「JPモルガン・グランド・アセット・アロケーション」が入った。前月第4位の「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」は第4位のままで、第5位には「キャピタル世界株式ファンド年2回決算(分配重視)」が上がった。前月第5位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」は第6位に後退した。「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA 年2回決算(分配重視)」が前月の第10位から第7位に上がるなど、同じ株式ファンドで「年2回決算(分配重視)」の人気が高まっている。

◆バランス型がトップ2、新設ファンドが好スタート

みずほ銀行の売れ筋トップを独走している「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は、世界の株式、債券、リート、金をはじめとするコモディティなどさまざまな資産に分散投資し、市場環境に応じて資産配分を機動的に変更する運用を行っている。2025年5月末時点の資産配分比率は「株式」に36.9%、「債券」に36.7%、「金・その他コモディティ」に18.8%、「キャッシュ・短期金融商品等」に7.6%という比率だ。「株式」の中でも世界株式、欧州株式、ディフェンシブ戦略株式、新興国高配当株式などの組入比率を引き上げた一方、スイス株式の組入比率を引き下げるという調整を行い、「債券」も米国超長期国債を売却した一方、新興国ソブリン債の組み入れを開始。また、米国物価連動国債の組入比率を引き上げるなどきめ細かな調整を行ってトータルリターンの向上をめざしている。

また、第2位にランクインした「JPモルガン・グランド・アセット・アロケーション」は、日本を含む世界各国の債券、株式に分散して投資し、長期的な市場見通しに基づき基本となる資産配分を決定し、その後市場環境等に応じて当該資産配分の比率を機動的に随時調整するという運用を行う。5月29日に新規設定したばかりだが、基準価額は6月末に1万224円と2.24%上昇した。7月8日時点で純資産残高は約42億円になっている。

そして、第9位の「NWQグローバル厳選証券ファンド(為替ヘッジなし/隔月分配型)(愛称:選択の達人)」もグローバルバランスファンドだ。世界の米ドル建資産(株式、債券、優先証券など)に投資し、投資にあたっては、有望企業を選別のうえ、その企業が発行する証券の中で相対的に魅力度の高い証券を選択するという運用手法を取る。2025年5月末時点の実質的なポートフォリオは、「投資適格社債」30.3%、「ハイイールド債券」24.8%、「優先証券」18.2%、「転換社債」4.9%、「株式」17.8%、「現金」4.0%という割合だ。債券を中心のポートフォリオになっているため、「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」と比較すると基準価額の動きが小さい。安定重視の投資家に選ばれていると考えられる。

5月のランキングからトップ10の中に3本のバランス型が入った。6月にはトップ2がバランス型になり、バランス型選好の動きが強まったようにみえる。