今週のドル円は堅調に推移しました。そこで今回のマーケットトークではドル円相場はどこまで上がるのか、また円相場の方向性などを考えていきたいと思います。
過去1ヶ月のドル円動向と148円台到達の背景
まず、過去1ヶ月のドル円相場を振り返ります(2ページ)。中東での地政学リスクの高まりを受けて原油価格の上昇とともにドル高が進み、一時148円台に載せました。ただその後はアメリカの利下げ観測の台頭とともにドル売り地合いとなりました。トランプ大統領が次期FRB議長を早期に指名すると表明した後、ユーロドルが4年ぶり高値となる1.18台まで上昇し、その場面でドル円も143円台を割り込みました。ただ、ドル安の決定打を欠く中、持ち堪えたドル円は6月分の雇用統計を受けて7月の利下げ観測が後退したことから反発しました。もっとも、トランプ大統領が相互関税の税率に関する書簡を12の国や地域に発送すると表明したことからややドルが下落して今週を迎えました。そして今週のドル円は147円台まで上昇しました。
ドル円上昇の背景がいくつも報じらました。まず、➀関税によるアメリカのインフレ率が高まり、利下げが遅れるとの見方です。ただ、市場で観察されるインフレ期待、10年物ブレークイーブンインフレ率を見る限り、大きな変化は見られていません。次に、➁アメリカの利下げの織り込みが後退したとの報道もありましたが、OIS市場を見る限り、利下げの織り込みに大きな変化はみられていません。また、③日銀の利上げの織り込みが後退し、円安が進んだとの見方もきかれましたが、同じくOIS市場で日銀の利上げの織り込みに大きな変化はありませんでした。このほか、➃参議院選挙での与党の苦戦とその後の消費税率引き下げといった財政拡張から連想される悪い金利上昇が円安をもたらしたとの見方もありましたが、クレジットデフォルトスワップ市場でそうした変化見られていません。超長期国債の利回り上昇は日本に限った現象ではなく、財政に起因する円安ということでもないでしょう。