主要通貨の動きから見るドル堅調の要因分析
そこで改めて今週の主要通貨の対ドル変化率を確認します。先週の反動から上昇したスウェーデンクローナを除き、多くの通貨がドルに対して下落するなどドルが堅調に推移しました。特に弱かったのが円であり、その次に弱かったのがユーロです(4ページ)。
これらを踏まえると今週のドル円上昇を招いた一因にまずユーロドルの反落が挙げられ、そこに円ロングの取り崩しが加わった可能性があります。また、米国債の入札も好調でした(5ページ)。
ユーロドルは、RSI(相対力指数)で買われ過ぎのシグナルも出ており、金利差を無視したユーロ高が進んでいた点をこれまでも紹介してきました(7ページ)。また、後述する通り、円ロングの取り崩しが円安を招いた可能性もあります。特に最近では円ロングの拡大がピークアウトして縮小に向かっていました。このほか、ドルの信認回復も挙げられます。今週のアメリカ10年物、30年物国債の入札ではいずれにおいても旺盛な需要が確認されました。入札直後こそ債券が買われて金利が低下し、ドル安が進む反応もみられましたが、少し長い目でみると好調な入札結果はドルに対する信任の表れととらえることができます。
尤も、悪い金利上昇の一種であるアメリカの10年物タームプレミアムの拡大には要注意です。トランプ減税の恒久化を含む減税法案の成立後、再び上昇する動きがみられています(8ページ)。まだ、7月8日分のデータまでしか公表されていませんが、これがさらに上昇し、再び悪い金利上昇がドル安につながるリスクを念頭に置く必要はあります。