来週の注目経済指標と相場への影響予想
来週の予定をみていきましょう(14ページ)。来週はアメリカで消費者物価指数や小売売上高といった注目度の高い経済指標が発表されます。また、ユーロ圏ではフランス国債の入札に注目です。日本でも6月の消費者物価指数が発表されます。また、来週はブラックアウト期間(中銀高官が対外的な情報発信を制限される期間でFOMCの前々週の土曜日からFOMCの翌日まで)直前の週にあたり、ほぼ連日FRB高官の発言機会があります。こうした中、来週は基本的にドルの持ち直しと円ロングの解消が合わさって、ドル円は底堅く推移すると考えられます。直近高値の148円01銭の更新も視野に入るでしょう。ただし150円に再び接近するためにはユーロ安といった間接的なドル高材料ではなく、直接的なドル高材料が必要と考えられます。例えば、消費者物価指数や小売売上高が予想を上回り、アメリカの利下げ観測が大幅に後退する場合です。一方、ドル円が下落するリスクにクロス円の反落が挙げられます。スイスフラン円やユーロ円などクロス円には加熱感もみられており、参議院選挙目前の来週、クロス円での円売りの巻き戻しによるクロス円の下落がドル円にも波及する可能性に要注意です。
最後にアメリカの経済について見ておきましょう。過去にもご紹介したウィークリーエコノミックインデックスです。これは生産、雇用、消費に関連する日次、週次の10種類の経済指標からアメリカ経済を週次でリアルタイムにとらえるもので、最も信頼できる経済指標と言えます。それによればアメリカ経済は足元でやや持ち直しの動きがみられています。労働市場が緩やかに減速しており、基本的に9月の利下げ開始を見込んでいますが、実際の米経済は意外にも底堅さを維持しているのが現状のようです。
―――――――――――――――――――――――――
「内田稔教授のマーケットトーク」はYouTubeからもご覧いただけます。