YouTubeでVODを先に観てみませんか? 
新NISAのスタートも忘れずに

中には「私は活字が苦手だ」という方もいらっしゃることでしょう。嬉しいことに去る1月23日、当デジタルブックに掲載されているFPと5人の会話の様子が各々映像化され、投資信託協会のYouTubeチャンネルにVODとして公開されました。しかも1本がせいぜい10分程度とコンパクトな編集になっているので短編映画を見ているようです。正直に申し上げて、気軽さという点では当デジタルブックを読むより、このVODを観る方が断然お勧めです。

特に「自分はこれまでFPに会ったことがない。自分がFPからアドバイスを受けているような臨場感を体験してみたい」という方には見逃せないのではないでしょうか。「VODをまず観る→詳細を当デジタルブックで復習する(逆も可)」という使い方も効果的なはずです。

昨年末、「新しい資本主義」を掲げる岸田政権はその施策の1つである「資産所得倍増プラン」の第一の柱として、2024年1月よりNISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充・恒久化(新NISA)を行うことを2023年度与党税制改正大綱で決定しました。前述したように、世代全体として「2040年問題」が待ち受ける「団塊ジュニア」にとっては、家計の状況に合わせて引退までの約20年という時間を味方につけながら、新NISAをどのように活用していくのかは、他の世代よりも一層関心を高めざるを得ないのではないでしょうか。

しかも、投資信託協会が行った別の研究(*7)によると 、現在 40 代の団塊ジュニア世代の純金融資産残高平均値は20 年前の 40 代よりも減少しており、さらに、所得や金利の水準などが相対的に低下している環境に鑑みると、現在の 40 代が 20 年後に 60 代になったときには、現在の 60 代より純金融資産が少なくなるという「負の世代間格差」が生じる可能性が高いとのことです。自ら積極的に資産形成に取り組まないままでは、両親や叔父、叔母の世代と必ずしも同様の生活水準を享受できるとは限らないかもしれないという指摘です。

ただし、家計をどう見直し、新NISAにどう取り組むべきか、といったことを自分一人だけで調べ、考え、行動に移していくのは、情報収集や勉強などに手間や時間などもかかり、なかなか容易なことではありません。中には本来FPが相談相手になり得ること(*8)を知っていても、自分のお金の話をするのは恥ずかしい、上手く質問が出来そうにない、などと不安を感じている方々もいらっしゃるでしょう。

FPに実際に会ってみた場合にどんなヒアリングを受けて、どんな会話になりそうか? などについて少しでも予習できれば、そうした敷居も低くなるのではないでしょうか。論点や解説などについて物足りなさももちろんあるでしょうが、VODもセットになったユニークな当デジタルブックは取っ付きやすさ、分かりやすさを優先して短編的に制作されています。広く「団塊ジュニア」世代の方々にとって、まずはFP相談に向けて関心を持ち始める、あるいは最初の一歩を踏み出すための入門材料として活用されるようになることを期待します。

(*7)青山直子「日本の家計資産における世代間格差の逆転 -親世代より子世代が貧しくなる日本、現在の40代の資産形成の遅れと是正策-」(投資信託協会・調査広報室レポート、2022年1月24日、https://www.toushin.or.jp/files/statistics/67/R_02.pdf
(*8)なお、FPのタイプも一様ではない。例えば、有料・無料、専門・得意分野の違い、相談以外に金融商品取り扱いの有無、実務経験や能力・知見の豊富さ、認定資格の有無や種類など、さまざまな切り口でタイプが分かれる。信頼できるFPの探し方などについては、例えば、当デジタルブックの執筆者のお一人でもある山中伸枝氏による以下の金融庁HPへの寄稿などが参照になろう。山中伸枝「心とお財布が幸せになる!お金との付き合い方」(金融庁HP・NISA特設ウェブサイト・有識者コラム、2018年2月28日、https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/column/column-16.html)。