「老後の備えは自分で作らなくてはいけない」そんな危機感がコロナ禍でさらに膨らみ、投資を始める人が増えている。しかし、そうはいっても奥深いのが投資の世界。慣れれば慣れるほど疑問や不測の事態に直面することも増えてくる。

そこで、この連載では「資産形成3年目だからこそ知りたい」用語や投資情報を解説する。第5回となる今回の記事では「投資情報の取得先」について。とくに、昨今のマーケットの乱高下にともなって、極端な意見の投稿も散見されるSNSとの付き合い方などを解説する。

原理原則の知識で冷静に情報の見極め

インターネット環境の整備やスマートフォンなどの通信端末の普及により、多くの人が手軽に情報を発信、取得できるようになった。とくにツイッターやフェイスブック、インスタグラムといったSNSは個人が情報発信、取得する際にもはや欠かせないプラットフォームとなっている。

投資においても例外ではなく、相場や投資に関連する投稿や、さらには個別銘柄について言及する投稿は非常に多い。そして、時としてその一部が大きく話題になる、いわゆる「バズる」ケースがある。

例えば、2022年始めから2月にかけて日経平均株価が2000円を超える下落を見せた際には、レバレッジ型投資信託※や仮想通貨への購入を推奨するような投稿が話題となった。「レバレッジで爆益のチャンス」「最大の買い場到来」、反対に「保有株式を全部売却するべき」「全部キャッシュにして退場」など、極端な意見も多く発信され、拡散された。

※ レバレッジ型投資信託の詳細については『人気の「レバナス」が暴落! 金融庁も指摘するレバレッジ型投信のリスクとは』ご参照

しかし、SNSを含むインターネット上の情報は必ずしも信憑性が高くないということを、今一度念頭に置いておきたい。

多くのSNSは匿名性が高いこともあり、情報の正しさが保証されているケースは多くない。なかには情報商材などの営利目的でユーザーにとって都合の良い事実だけを発信したり、誤った情報を流したりするアカウントも存在する。拡散自体、組織ぐるみで意図的に行われている可能性もあるため、広まっているからといって正しいとは限らないし、多くの人に支持されているとも限らない。

本当に利益を上げていたとしても、短期売買や仮想通貨取引などの場合は投資タイミングが成果に大きく影響する。仮に同じ手法で投資をしたとしても、同じように利益を出すことは容易ではないだろう。

もちろん、SNS上でも有益な情報を発信しているユーザーは存在する。では、どのように見定めていけばよいのだろうか。

まずは基本的な金融リテラシーを身につけることが大切だ。投資に絶対はないこと、リスクゼロで大きな利益を出せる商品はないことなど、原理原則の知識を身につけておけば、情報の真偽を見極めやすくなるはずだ。

また、信頼できる発信元や企業が公開している資料を自身で調べることも大切といえる。あるユーザーが発信している特定企業への言及が正しいかどうか、その企業の公開情報をもとに判断することも可能だ。