「老後の備えは自分で作らなくてはいけない」そんな危機感がコロナ禍でさらに膨らみ、投資を始める人が増えている。しかし、そうはいっても奥深いのが投資の世界。慣れれば慣れるほど疑問や不測の事態に直面することも増えてくる。

そこで、この連載では「資産形成3年目だからこそ知りたい」用語や投資情報を解説する。第15回は「株価の底値買い」について。決算発表に伴い、業績の下がった企業の株価を見ると、どのように行動すべきか迷うもの。市場全体に目を向けても、2022年8月に一時2万9000円台まで復活した日経平均株価は、2023年2月下旬は2万7000円台まで水準が徐々に切り下がっている。

株価が下落傾向のタイミングこそ「仕込み時」と考える投資家もいるが、初心者にとってはこのような時こそ慎重な投資が重要だ。今回は、株価の下落時に不安にならないための投資法を見ていこう。

株価下落時の主な対応方法3つを解説

株価下落に直面したときは、手じまいをするかもう少し粘るかで迷うことも多い。対応方法としては大きく分けて3種類がある。

1. そのまま保有を続ける

株価が下がっても慌てず、じっと相場の反転をうかがう方法だ。市場の需給で一時的に値下がりすることも珍しくない。割安度や業績を改めてチェックして一時的なものと判断した場合は、下手に動かず待つのも手だ。急落した場合も同様に、次の展開を辛抱強く待ち続けよう。

ただし、見込みもないまま止むを得ず長期保有している「塩漬け」の状態には注意したい。「見切り千両、損切り万両」という格言があるくらい下落したときの売却のタイミングは難しいとされるが、「塩漬け」銘柄を保有することは運用効率の低下にもつながりかねない。資産運用の目的や期間を鑑みて保有を続けるのか売却するのかを検討したい。

2. 売却する

保有している株式を売却し、損失を確定させる方法(損切り)もある。保有し続けた場合、さらに株価が下落して含み損が膨らむ可能性もあるため、損失額を確定させることで損失が膨らまないようにする狙いだ。購入した株の価格が下落し、回復が見込めないと判断できるケースでは有効といえる。

ただし、反転した場合もすぐに買い直すのはNG。損切りした銘柄に拘らず、あくまで自分の「買い」と「売り」の基準をもとに投資を続けよう。

3. 追加で注文する

反転に期待し、保有を続けるだけではなく、追加で注文を行う方法。ナンピン買いと呼ばれる。平均購入価格を下げることで、株価上昇時に含み損を解消するまでの時間を短くできるというメリットがある。

しかし、株数が増えることで、株価がさらに下落すれば損失の膨らむスピードが速まる可能性もある。デメリットとして、他の投資対象に回す資金がなくなったり、分散投資しづらくなったりすることなどが挙げられる。