「老後の備えは自分で作らなくてはいけない」そんな危機感がコロナ禍でさらに膨らみ、投資を始める人が増えている。しかし、そうはいっても奥深いのが投資の世界。慣れれば慣れるほど疑問や不測の事態に直面することも増えてくる。

そこで、この連載では「資産形成3年目だからこそ知りたい」用語や投資情報を解説する。第14回は「所得控除」について。毎年2月16日から3月15日の間に行う確定申告の際は、税額を算出するために各種控除額の計算が必要になる。今回は、確定申告の基本やどんな人が対象になるか、所得控除の種類など手続きに必要な知識を解説していく。

納税額の精算に必要なのが「確定申告」

そもそも、確定申告とは1年間の所得と、それに対する所得税額を精算するための手続きを指す。計算する期間は1月1日から12月31日、申告期間は原則、翌年の2月16日から3月15日まで。つまり、2022年中の所得については2023年3月15日までに申告が必要だ。

確定申告が必要な場合の例としては「事業所得」がある個人事業主、「不動産所得」や「山林所得」がある地主などが挙げられる。また、源泉徴収されていない退職所得がある人や、公的年金の所得額が400万円を超える場合も、必ず確定申告が必要だ。

会社員(給与所得者)の場合、所得税は勤め先が代わりに納めるだけでなく年末調整の段階で納税額も調整されるため、原則として確定申告は必要ない。しかし、以下の場合は必ず確定申告しなければならない。

1. 給与所得が2000万円を超える人
2. 年間20万円以上の給与所得以外の所得がある人
3. 災害減免法で、源泉徴収額の徴収の猶予や還付を受けた人 ……など

まず、給与所得額が2000万円を超える場合は、勤め先が年末調整を行っていても確定申告が必要になる。

次に、各種所得(給与所得や退職所得以外の所得)が20万円を超える場合や、年末調整されなかった給与と各種所得の合計が20万円を超える場合も確定申告しなければならない。とくに副業を行い、2カ所以上から給与所得を得た人は後者に当てはまる可能性が高いため、注意が必要だ。

また、災害で住宅や家財に損害を受けて所得税の軽減・免除の対象となった場合は、確定申告することで所得税が軽減・免除される。免除の割合は500万円以下の場合は全額免除、500万円を超えて750万円以下の場合は2分の1を軽減、750万円を超えて1000万円以下の場合は4分の1を軽減と、世帯の所得額により異なる。