確定申告した方がお得になる場合もある
会社員の多くは確定申告は不要だが、以下のパターンに当てはまる人は、確定申告をすると税金の還付や節税が可能かもしれない。
1. 災害、泥棒、事故で資産に損害があった人
泥棒や事故などで資産に損害を受けた場合は「雑損控除」という控除を適用できる可能性がある。雑損控除では、損害金額や災害関連の支出から保険金等の額を差し引いた金額が控除される。
災害に遭った場合の救済制度には、前述した災害減免法による所得税の免除・軽減もあるが、どちらの制度を適用するかは納税者自身が選ぶことができる。自分にとってより有利な制度を選択したい。
2. 退職し、年内に再就職していない人
退職した会社員にも、確定申告した方がいい場合がある。年内に再就職すれば、新しい勤務先で前の勤務先の給与も含めて年末調整され、所得税の納め過ぎがあっても解消できる。
しかし、再就職しない場合は年末調整を受けられないため、所得税の納め過ぎがあっても還付される機会がなくなってしまうのだ。退職した翌年以降5年以内であれば行えるが、添付書類が揃ったら早めに行おう。
3. 年収103万円以下で源泉徴収されている人
1年間の所得が103万円以下のパートやアルバイトには、所得税が課税されない。しかし、月の給与が8万8000円以上かつ扶養親族がいない場合は源泉徴収される。源泉徴収された額は年末調整の際「扶養控除等申告書」を提出すれば還付されるが、提出していない人は確定申告が必要になる。
4. 一般口座や源泉徴収なしの特定口座で投資をしている人
一般口座や源泉徴収なしの特定口座で投資をしている投資家は、欠かさず確定申告したい。利益が出ていない場合でも、「損益通算」という仕組みを使って税額を抑えられる可能性があるからだ。
損益通算とは、同一年分の利益と損失を相殺すること。株式投資などで損失が出た場合、利益から損失を差し引いて、その分だけ税金を減らせるのだ。さらに、損失は最大で3年間繰り越して控除することができるため、申告する年に損失が出ていなくても制度を利用できる場合がある。