楽天証券の投信売れ筋ランキングの2025年5月のトップ5は前月と同じになった。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をトップに、第2位以下は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」、「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」と続いた。前月第9位の「iFreeNEXT FANG+インデックス」が第6位にジャンプアップし、第8位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」が第7位に順位を上げた。前月第6位だった「楽天日本株 4.3倍ブル」は第9位に後退した。「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」(楽天・SCHD)も第8位にランクを落とした。

 

◆復調した「FANG+インデックス」

楽天証券の売れ筋ランキングで5月にランキングを上げた「iFreeNEXT FANG+インデックス」と「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は、ともに売れ筋トップの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回るパフォーマンスになっていることが評価されてのランクアップだろう。

「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、Facebook、Amazon、Netflix、Google(頭文字をとって「FANG」)の4社を含む米国を代表するハイテクプラットフォーマー10社で構成された株価指数「FANG+インデックス」に連動するインデックスファンドだ。2020年3月の「コロナ・ショック」後に、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や「AI(人工知能)」の成長をテーマにした世界の株式市場の潮流をリードしてきた銘柄群といえるが、2023年ごろから「割高(企業の実力以上に株価が高い)」が指摘されるようになっていた。このため、2025年になって米国株式市場が軟調に転じると、最も大きく下落したのが「iFreeNEXT FANG+インデックス」を構成するような大型ハイテク株だった。

「iFreeNEXT FANG+インデックス」は、4月9日に前年末比マイナス29.09%まで下落した。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が同マイナス23.07%だったため、それを大幅に上回る下落率になった。この水準に下げたことで、「FANG+インデックス」構成銘柄のPER(株価収益率)は過去5年平均を下回る水準となり、「割高」とはいえなくなった。そして、4月下旬から5月の戻り相場の中では、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回る上昇率となり、5月末時点では年初来の基準価額の水準が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回った。4月安値から5月末までの上昇率は、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が17.58%のところ、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は31.06%と圧倒した。「割高」の懸念がなければ、今後の米国経済の成長をけん引するのはFANGに代表されるハイテク株であるという期待の表れだろう。

また、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は2025年の下げ相場の中で、一貫して「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回るパフォーマンスを続けている。下げに強く、かつ、上昇局面においても「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と同等に上昇した。「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」はポートフォリオを構築するにあたって「成長」だけでなく、「配当」や「割安」も根拠に銘柄を選んでいる。「配当」や「割安」は株価の下落場面では下落率を抑制する要素になるが、その後の反騰局面においても「成長」のポイントで選んだ銘柄群がしっかりと株価上昇をしてファンドの基準価額上昇につながったということだろう。このバランスの良さが同ファンドの強みといえる。