◆「全米」と「SCHD」は…
2025年の株価下落局面を振り返ると楽天証券の売れ筋で存在感のある「楽天・全米株式インデックス・ファンド」と「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」はハイテク株投信に比べて戻りに勢いがなかった。
「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は全米の中小型株を含めた投資可能なすべての上場株式に分散投資するファンドだが、基準価額の推移は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の動きと違いがほとんどなかった。信託報酬率が「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の年0.08140%(税込み)に対して2倍程度の年0.162%(税込み)であることを考えると、やや厳しい成績かもしれない。
また、「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」(楽天・SCHD)は、株価下落後の戻りで力強さを欠いた。株価の下落過程においても年初からの下落率が約18%と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の23%と比較するとやや下値の抵抗力は見えたが、5月の戻り過程で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に基準価額の水準で抜かれてしまった。
「高配当株式」は成長よりも安定に力があるとはいえ、米国の関税政策の影響で米国経済が不況を覚悟するような事態となっていることから、先行きの展望が開けない。また、関税によって輸入品が値上がりし、それがインフレ再燃につながりかねないことから金利低下の見通しが先送りされたことも「高配当株式」の魅力をそぐ要因になっている。この状況がいつまで続くか、今後の成り行きを見守りたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩