投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、常陽銀行。

常陽銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2026年3月のトップは前月と同様に「日経225ノーロードオープン」だった。前月第2位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が第3位に下がり、前月第3位だった「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第2位に上がった。また、トップ10圏外から「ノムラ・ジャパン・オープン」が第5位に、「インデックスファンド225」が第8位にランクインするなど、日本株ファンドの人気が高まっている。第10位に「eMAXIS 先進国株式インデックス(除く日本)」がランクインした。

 

※常陽銀行サイトの投資信託ランキング一覧から「販売件数ランキング」の「2026年3月」のデータに基づいて編集部作成。
https://www.joyobank.co.jp/personal/invest/toshin/ranking.html

日本株ファンドの中で「ノムラ・ジャパン・オープン」が浮上

常陽銀行の投信売れ筋(販売件数)ランキングのトップだった「日経225ノーロードオープン」(設定はアセットマネジメントOne )は、3月の1カ月間で基準価額がマイナス12.65%と大きく下落した。中東緊迫化でイランによってホルムズ海峡が封鎖され、原油や天然ガスなどを中東に依存する比率が高い日本への影響の大きさが懸念されたためと考えられる。その下落過程で日本株ファンドがより積極的に支持されることになったのは、イラン戦争の早期終結を期待する見方が強かったのだろう。1カ月程度で戦争が終結するものであれば、原油等の備蓄によって日本経済は大きな混乱なく復調できると見たのだと考えられる。

4月になって米国とイランの間で戦争終結に向けた交渉が始まると、「日経平均株価」は史上最高値を更新し、「日経225ノーロードオープン」は3月の下落分を全て取り戻して基準価額の2月末高値を4月16日に更新した。「日経225ノーロードオープン」がトップをキープする中で、同じ「日経平均株価」連動のインデックスファンドである「インデックスファンド225」(アモーヴァ・アセットマネジメント)もトップ10にランクインしたことからも、「日本株」が投資対象として魅力を増してきていることがうかがえる。

その日本株ファンドの中で、野村アセットマネジメントが設定・運用するアクティブファンドである「ノムラ・ジャパン・オープン」がランキングの第5位に入った。近年の投信市場の傾向としては、「同じ投資対象資産に投資するのであれば、手数料が安いインデックスファンドを選好する」ことが一般的になっている。アクティブファンドは運用手数料である信託報酬が年1%を超えることが多いため、そのことだけを理由にして「投資を検討する対象にならない」と切り捨ててしまう投資家もいるほどだ。

しかし、投信を活用することのメリットの1つに、「プロの運用者の運用力を資産形成に取り込む」ということがある。日本株への投資であれば、日本を代表する225銘柄に分散投資する「日経平均株価」というインデックスに低い運用手数料で投資する方法もあるが、その225銘柄の中からプロの目で見てよりよい銘柄だけをピックアップして投資する、あるいは、225銘柄に入っていない国内株も含めて調査・分析してより良い銘柄だけに投資することによって、インデックスを上回る運用成績の獲得につながる。もっとも、そのプロの能力が期待通りに優れたものでなければ、わざわざ高い手数料を支払う価値もないということになる。

「ノムラ・ジャパン・オープン」の運用実績を振り返ると、2026年3月末時点で過去1年間のリターンが61.68%で、これは「日経225ノーロードオープン」の44.97%を大幅に上回る。過去3年のリターンも「日経225」の88.40%に対し135.14%、過去5年は85.21%に対し145.14%、過去10年は240.18%に対し304.71%というように、過去10年のどの期間をとっても圧倒的に優れた成績を残している。手数料は年1.52%(税抜き)であり、「日経225ノーロードオープン」の年0.50%(税抜き)よりも高いが、その手数料の違いなど問題にならないほどの成績をあげている。

「ノムラ・ジャパン・オープン」は「TOPIX(配当込み)」をベンチマークとしているため、「TOPIX(配当込み)」連動型のインデックスファンドの運用成績を過去10年間で比較してみる。「ニッセイTOPIXオープン」(ニッセイアセットマネジメント)は信託報酬が年0.50%(税抜き)で過去1年リターンが33.93%、3年は84.47%、5年は96.84%、10年は211.87%という成績で、やはり「ノムラ・ジャパン・オープン」のほうが上回っているのだ。

4月に「日経平均株価」は史上最高値を更新し、市場の状況は「出遅れた割安株」とは決して言えない状況になっている。「日本株」の中でもより良い銘柄を選定して投資することの重要性が増してきているのではないだろうか。「ノムラ・ジャパン・オープン」が人気を得たように、優れた成績を残すアクティブファンドがいくつも出てくることが「日本株」の人気を持続させるうえでも重要になる局面だろう。

執筆/ライター・記者 徳永 浩