投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、楽天証券のデータをもとに解説。

楽天証券の投信売れ筋ランキングの2026年3月のトップ2は前月と同じでトップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、第2位に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だった。第3位には前月第4位だった「楽天日本株4.3倍ブル」が上がり、前月第3位だった「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」は第4位に後退した。そして、第5位以下は前月と同じだった。前月はインデックスファンドの中に、アクティブファンドがランクインしてくるという変化があったが、3月は米国によるイラン攻撃と、それに伴う原油価格の上昇という大きな環境変化があったにもかかわらず、投信の売れ筋は変わらなかった。

 

※楽天証券サイト「投資信託」「全銘柄ランキング(買付金額)」に基づいて編集部作成。期間:2026年3月1日~3月31日。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/find/ranking/ranking.html?term=m&target=all&age=all&x=106&y=6&type=500001&freqid=3&tget=1&group=all

主要国株価は高値から10%以上下落し「調整局面」入り

楽天証券の売れ筋ランキングのトップ10は、2月とほぼ同じだった。2月末に米国とイスラエルの連合軍がイランを突然空爆し、イランの最高指導者を殺害した。イランは即時反撃し、反撃のホコ先が湾岸諸国に展開する米軍基地等に広がったため、広く中東地域を巻き込む紛争に発展。ペルシャ湾を航行するオイルタンカー等の運行がストップするとともに、ペルシャ湾の出口にあたるホルムズ海峡が事実上封鎖封鎖されたため一気に世界への原油供給力不足が懸念され、原油価格が急騰する事態となった。2月27日に1バレル=67.02ドルだったWTI原油先物価格は、3月31日には101.38ドルと1カ月間で51.27%も値上がりした。

原油価格の上昇は世界的なインフレ懸念につながり、金融引き締め懸念から株価が下落した。3月の下落率は、米国「S&P500」がマイナス5.09%、「NASDAQ総合」がマイナス4.75%、英国「FTSE100」がマイナス6.73%、中国「上海総合」がマイナス6.51%という水準だったが、国内株の「TOPIX(東証株価指数)」はマイナス11.19%、「日経平均株価」は13.23%、ドイツ「DAX」はマイナス10.30%、インドの「SENSEX30」はマイナス11.49%という水準だった。国内株の下落率が大きくなったのは、2月末の水準が史上最高値だったため、その反動も手伝って下落率が大きくなったと考えられる。

一般的に株価が10%以上値下がりすると「調整局面」に入ったとされる。米国では株価が下落前の高値を回復するまでの期間は3カ月以上要することが一般的だ。10%以上下落して20%に近づくほど下落率が拡大すると高値回復までの期間は平均で約8カ月程度という統計がある。そして、株価が高値から20%以上下落すると「弱気相場」に転じ、この場合は高値回復までの期間が1年以上になる。景気が後退する局面と重なった場合は数年にわたって高値を回復できないことにもつながる。日本株についても過去10年間で「日経平均株価」が10%以上下落した場合、高値を回復するまでにかかった期間は約4カ月から約10カ月という期間を要している。

株価指数には統計的なデータがそろっており、統計的な展望を持つこともできる。そして、米国「S&P500」の高値からの下落率は3月30日の安値まででマイナス9.10%と10%に接近しているが、「NASDAQ総合」は既にマイナス13.21%という水準にまで達している。ちなみに、半導体関連株指数といわれる「SOX」は高値からマイナス15.65%という下落率だ。「SOX」は「S&P500」と比較すると約2倍のボラティリティのある変動が激しい指数であるため、15%程度の下落は過去20年で5回以上発生するなど珍しい調整局面ではないが、それでも15%以上の下落となった場合は高値回復までに6~9カ月程度はかかっている。

株式への投資は当面、長期的な期待は持ちにくい状況になってきている。20年、30年という長期投資であれば、この程度の下落率で考えを改める必要はないが、3年から5年程度の投資期間を想定している場合は、半年程度も足踏みしているという状況はどうなのだろうか。資産運用のリターンを考えた場合、従来型の先進国の「株式」だけへの投資では、ひたすら我慢の期間となりそうだ。