老後の生活を支える有力な手段の一つである確定拠出年金(DC)には、個人が加入するiDeCo(イデコ)と企業の従業員が加入する企業型の2つの制度があります。9月16日は2016年に個人型DCの愛称が「iDeCo」に決まった記念日です。両制度の活用と資産運用の必要性を考えるきっかけとして、FinaseeではNPO法人確定拠出年金教育協会の協力のもと、「iDeCo・企業型DCショートエッセイ」コンクールを開催しました。全国の皆さまからご応募いただいた「iDeCo」「企業型DC」に関するご自身の気持ちをつづった力作から、栄えある優秀賞に輝いたニックネームなおさんの体験談をお届けします。
将来の自分のために、今、何ができるのか
ある大学の講義で「VUCAの時代」という言葉を耳にした。その意味を知って以来、20代に入ったばかりの私は将来への不安から、就職先はもちろん老後に至るまでの人生全体について深く考えるようになった。
私はもともと、この少子化の時代にあって子どもを持たない選択をする若者の一人だった。しかし将来を真剣に意識するようになってからは、最終的には自分の骨を誰が墓に入れてくれるのかというところまで、老後の生活を想像するようになった。
「老後2000万円問題」という言葉を、2019年に金融庁が発表した報告書で初めて知った。当時私は中学2年生で深く受け止めることはなかったが、20代に入った今、その重みを実感している。
物価は上がり続け、手取りが増えない現代において、SNSで不平不満を政治家にぶつけるだけでは、将来は変わらない。将来の自分のために、今、何ができるのかを考えることこそが大切だと感じている。
その選択肢の一つとして、iDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)や企業型確定拠出年金(DC)の活用があると私は考える。ただし、これはSNS時代特有の注意点でもあるが、有名インフルエンサーがすすめているからという理由で、よく理解しないまま「とりあえず始める」のは非常に危険だ。
だからこそ私は、誰かに「とにかくiDeCo・DCをやれ」とは言わない。
むしろ、自分自身の「今」と「将来」に必要なことは何かを考え、学び、その結果として、VUCAの時代を生き抜くための手段の一つとしてiDeCoやDCを選ぶべきだと強く思っている。
