2026年の相場はどうなるのか。日本株、米国株、為替、金利、暗号資産の各分野におけるマネックス証券の気鋭の専門家が一堂に会したカンファレンスが2025年12月18日に開催された。米ドル円、為替相場について同社チーフ・FXコンサルタントの吉田恒氏 、金利についてインベストメント・ストラテジーズの塚本憲弘氏、暗号資産について暗号資産アナリストの松嶋真倫氏による展望をお届けする(後編)。
為替相場:円の暴落を回避できるか? 円安のメカニズムが変化、為替介入では止まらない可能性も
マネックス証券チーフ・FXコンサルタントの吉田恒氏は2026年のドル円相場のテーマを「円の暴落を回避できるか」と述べ、予想レンジを130〜165円とした。2025年のドル円相場を振り返ると、年初158円からトランプ政権誕生後、それまでのドル高予想に反して4月には一時139円まで下落した後、高市政権誕生で再び150円台まで戻すという展開だった。注目点は5月以降に起こった変化だ。米国が利下げ、日本が利上げへと進み、日米金利差が縮小に向かったにもかかわらず、為替相場では米ドル高・円安が進む異例の事態に。日本の長期金利上昇と連動して円安が進行した。通常、自国金利の上昇は自国通貨高につながるはずが、5月以降は逆の動きとなっている。
この背景には日本国債の需給環境の悪化があると吉田氏。アベノミクス以降の積極財政、コロナ・ショックでの財政悪化加速、日銀の大規模な国債購入が財政規律の低下をもたらしたと指摘する。さらに高市政権はアベノミクスを継承する姿勢を示しているため、財政悪化懸念が継続していることが円安につながっていると解説する。
「過去の円安局面では投機筋のドル買い円売りポジションが急増していたが、現在はそうした状況ではない。つまり今回の円安は投機筋主導ではなく、より構造的な問題に起因しているため為替介入では止まらない可能性が高い」(吉田氏)。
さらに160円以下での為替介入の可能性は低いと見ており、現在の債券売りによる円安が止まるとすれば、①日本からの資本流出の抑制、債券売りの原因である日本の財政規律への懸念の払しょく、②米国などからの資本流出の拡大による米ドル安・円高、そして可能性は低いが、③米国のドル売り・円買い介入の3つのシナリオが考えられるという。円の暴落を回避できるかどうかは今後1〜2カ月が正念場になるとの見方を示した。
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