米国では第2次トランプ政権が発足し、自国第一主義で世界を翻弄。日本では高市早苗氏が女性初となる内閣総理大臣に就任、日経平均株価は初の5万円を突破し史上最高値を更新―。2025年は国内外で政治・経済ともにエポックメーキングとなる出来事が相次いだ。世界を覆う地政学的な緊張や台頭する保護主義政策に象徴されるように、激しい変化が将来の不確実性を高めている。資産運用を取り巻く環境はどう変わるのか。世界的な保険大手アクサグループの資産運用会社、アクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM)のコア・インベストメント最高投資責任者(CIO)兼アクサIM資産運用研究所議長を務めるクリス・アイゴー氏が2026年の世界経済の見通しおよび注目の資産クラスなどについて語る(後編)。

債券市場の見通しと為替ヘッジコストの影響

2026年における具体的な資産クラスの見通しについてだが、債券市場については比較的前向きな見方をしている。利回りは向こう1年、安定して推移すると考えている。国債については日本を含む各国で発行残高が増加していることは懸念材料ではあるものの、市場にはそれを吸収する十分な流動性があると見ている。

中でも米国のクレジットやハイイールド債に投資妙味があると考えている。欧州でも同様にイールドカーブ(利回り曲線)がスティープ化しており、長期債の利回りが短期金利に比べてかなり高い水準にあるため、2026年にかけて欧州の社債には前向きな見方をしている。

日本の投資家にとって重要なのは為替ヘッジコストだが、各国の短期金利の差は縮小傾向にある。例えばユーロと円の金利差は1%程度にまで縮まってきているため、ヘッジ付き欧州社債の利回りは現在、日本国債とほぼ同等となっている。

一方で、ヘッジ付き米国債は円換算では依然として妙味はないものの、FRBの利下げが進めば日本の投資家にとっても投資妙味が増すだろう。米国経済に若干の減速の可能性と利下げが控えているため相場についてはややドル安傾向とみている。

 
アクサ・インベストメント・マネージャーズ(アクサIM) コア・インベストメント最高投資責任者(CIO)兼アクサIM資産運用研究所議長クリス・アイゴー氏
 

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