米国経済の不透明感が強まる今、アジア市場への注目が高まっている。日本では2025年の後半に日経平均株価が5万円を突破。中国市場は速度こそ低下傾向にあるものの成長が続いている。2025年末からはインドの代表的な株価指数であるSENSEXが、2024年9月以来の最高値付近で推移している。
アジアの成長は今後も続くのだろうか。中国とインドなどアジア各国への投資で世界的にも有力な運用会社であるイーストスプリング・インベストメンツ・グループのCIOのヴィス・ナイヤール氏が2026年の展望を語った(2025年11月時点での見通し)。
2025年の振り返り
アジアについて見る前に、まず2025年のマーケット環境を振り返りましょう。
2025年は、さまざまな懸念があったものの、グローバルで市場は好調で、結果を振り返れば“落ち着いた年だった”と言えるでしょう。とはいえ、市場をとりまく状況は年初と比べて大きく変わってきています。
第一に、米国の成長率が鈍化し始めています。2023年、2024年は米国の生産性向上と経済成長が非常に目覚ましかったのですが、2026年の実質GDPの成長率予測は1.6%程度まで減速する見込みであると考えています。
第二に、米国のインフレに粘着性が見られます。連邦準備制度理事会(FRB)は2%のインフレターゲットを掲げているにもかかわらず、実際には3%前後で推移し続けているのです。
第三に、金融市場に余剰資金があふれる「流動性相場」です。世界的に金融緩和が続いており、これが資産価格を押し上げ続けてきました。2026年も利下げ環境が続く見込みで、流動性相場が続く見込みです。
第四に、米ドルが弱い状況は今後も続くでしょう。FRBの利下げと米国のインフ率上昇により、米ドルの実質利回りが低下するためです。米ドル安は新興国の経済にとって重要です。というのも、歴史的にみて、米ドルが弱い時は米国の資金が国外に流出し、新興国に流れ込んでくる傾向があるからです。
そして第五に、これが非常に重要なのですが、中国やインドをはじめアジア各国は金融緩和を継続し、財政刺激策を実施しています。2025年には、中国は銀行への規制緩和で1兆人民元規模の余剰資産を捻出、日本は高市首相が数々の財政出動を決定、インドは所得減税と物品・サービス税(GST)の税率を引き下げ。米国の高いバリュエーションと成長鈍化という状況を考えると、相対的に見てアジアは今後も非常に魅力的な投資先であり続けると考えています。
