米国株も日本株も好調な滑り出しとなった2026年。しかし、企業倒産の増加、銀行の引当金、ノンバンク金融の動向など、注視すべきシグナルは少なくありません。
米国経済の現状はどのように評価できるのでしょうか? そして、今後の展開は?
ピクテ・ジャパンの大槻奈那氏が解説します。
※当記事は2026年1月9日に開催された「オルイン 新春セミナーin大阪」での講演内容をもとに再構成しています。
各国の経済見通し
今年の各国の経済成長とインフレ率の見通しについてですが、米国では物価上昇は続くでしょうが、雇用統計はまだら模様の状況で、これがより深刻になると考えています。
日本は比較的コンセンサス通りですが、金融政策については若干タカ派的な予想を出しており、今年2回の利上げがあり得るという見通しを持っております。
米国経済:雇用とインフレ
米国について、インフレより雇用の方が深刻であるというスタンスで全体を捉えています。その理由は政局的な要素を含んでいます。
すでに2026年1月を迎え、中間選挙までに何か政策を打ったとしても、通常はタイムラグがありますので今からでは間に合いません。国民に実感してもらえる政策は、トランプ氏といえども難しいでしょう。だとすると、市場が期待している方向の政策を打つというのが、中間選挙に臨むスタンスではないかと考えています。
では、国民が望む方向とは何でしょうか。私は雇用ではないかと見ています。その理由がミシガン大学のセンチメント調査にあります(図1)。
図1
5年後の物価上昇率の予想を見ると、下がってはいるもののまだ高い水準です。その一方、過去最高値に近い水準をつけているのが雇用のセンチメントです。5年後に自分が失業しているかどうかに関する質問に対して、心配をしている方が多くいます。つまり、雇用の方が国民のマインドに大きく影響を与えているのではないかという仮説です。
インフレについて補足すると、トランプ政権に対して最大の課題は何かと聞くと、インフレが一番多い回答になりますから、利下げをしている場合ではないようにも見えます。
一方で興味深いのは、インフレの理由を尋ねた結果です。特に共和党支持者は「毎年の年次変動に過ぎない」という回答が多く、インフレに慣れてしまっているのでそこまで重視していないことが読み取れます。
金融政策を打っても景気浮揚に効果はあるでしょうが、その効果にはタイムラグがあります。支持率対策からすれば金融政策は今から実施しても仕方がないとも考えられます。トランプ政権がFRBに対して今後も影響力を強めていくことを考えると、雇用や賃金の影響を重視する可能性があるのではないでしょうか。