2025年の金融市場は波乱含みの展開となった。世界経済は米国第2次トランプ政権による保護主義的な通商政策が関税ショックを引き起こし世界を翻弄。国内では日銀が追加利上げを実施し、金融正常化を推進。春闘では2年連続5%台という高い賃上げ率を達成したものの継続的な物価高は消費者生活に色濃く影を落とし続けている。10月には初の女性総理となる高市政権が誕生。株式市場は活況を呈する一方、インフレと金利上昇圧力は継続している。世界株はAI投資に牽引され、国内株は日経平均が史上初の5万円台を突破し過去最高を更新。新NISA投資家にも大きな影響を与えた。2025年の流れを受け、投資家は2026年にどう挑むべきか。世界経済、金融市場の見通しについてニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジスト、井出真吾氏に聞いた。

関税影響をもろともせず大幅上昇を達成した2025年の日本株

――2025年を振り返って、世界経済および金融市場の主な動き、流れは?

2025年前半の金融市場はトランプ関税に揺さぶられたものの、関税率引き下げのほか底堅いグローバル景気の支えもあって、関税の影響は想定ほど大きくなかった。さらに26年は2桁増益が想定されており、夏場以降の株価大幅上昇につながった。日米同盟強化も日本株の上昇を後押ししたとみられる。

インフレ率は徐々に低下、実質賃金プラス転換に期待

――2026年の日本経済の見通しは?

長引くインフレや人手不足を背景に高水準の賃上げが実現するだろう。トランプ関税の影響が限定的なことも賃上げを後押しする。インフレ率は徐々に低下が見込まれており、実質賃金がプラスに転じる可能性が高まっている。

足元のインフレ率は3%程度だが、円相場が1ドル150円台程度でとどまれば、ガソリン価格の低下や食料品の値上げ品目数の減少などを背景にインフレ率は2%台半ば、場合によっては2%台前半まで落ち着いていくだろう。

一方で、賃上げは5%前後の水準で続くと見ている。インフレ率が落ち着き、賃上げが続くことで年内のいずれかで実質賃金がプラスに転じるだろう。国内景気や消費が下支えされることで内需関連の企業にとって好材料となるはずだ。

もちろん賃金が上がったからといって、すぐに消費マインドが盛り上がるわけではないが、「年収の壁」の引き上げなども追い風となり、将来への不安は少しずつ和らぎ、消費マインドはこれまでより高まっていくのではないか。

高市政権の誕生で企業投資の拡大が促進されていくが、さらに今年はコーポレートガバナンスコードの改訂が予定されている。その大きなテーマの一つが企業の現預金の使い方だ。これまで溜め込んできたキャッシュが設備投資や人材投資、あるいは自社株買いや賃上げに活用されることが期待される。こうした動きは海外投資家にとっても非常に分かりやすい前向きな変化であり、日本株が再評価されるきっかけになり得ると考えている。