「投資しているお金はいつ使うか」、急変に慌てない視座を
――2026年に投資家が意識すべき点、注意すべき点は?
今年も市場のボラティリティ(価格変動)は高い状態が続くことを覚悟しておく必要があるだろう。中東情勢などの地政学リスクや米中の対立、あるいはアメリカ経済のスタグフレーション懸念など、市場が揺れ動く可能性は数多く存在する。
個人投資家の皆さんにお伝えしたいのは、実体経済と金融市場の反応は必ずしも一致しないということ。金融市場は、時に実体経済以上に懸念を強めて動くことがある。記憶に新しいところでは24年8月の令和のブラックマンデーや、25年2月のディープシークショック。どちらも、後から振り返れば実体経済に大きな影響はなかったにもかかわらず、金融市場は大きく動揺した。
もし今年もそのような下落局面に遭遇したとしても、長期投資を前提としているのであれば慌てて売る必要はないだろう。過去の歴史を振り返っても、アメリカの景気後退はだいたい1年前後で収束している。リーマンショックですら、S&P500が元の価格を回復するのにかかった期間は5年半だった。
その点を鑑みると、株価が大きく下がって怖くなった時にまず考えてほしいのは、「この投資しているお金を、自分はいつ使う予定なのか」ということ。もし使うのが10年後、20年後であれば、目先の価格変動に一喜一憂する必要はない。そもそも株式投資とは、投資してから10年以内であればいつ元本割れしてもおかしくはないもの。15年、20年と時間をかけることで元本割れのリスクは着実に低減していく。金融市場は揺れ動くものだと割り切り、長期的な視点を持ち続けることが何よりも重要だ。
ニッセイ基礎研究所
金融研究部 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト
井出 真吾氏
1993年東京工業大学卒業、日本生命保険入社。1999年ニッセイ基礎研究所、2023年より現職。専門は株式市場、株式投資、マクロ経済、資産形成。新聞・テレビ等メディアへの登場も多数。著書に「井出真吾の投資相談室 63のQ&Aでわかる安心運用」「40代から始める 攻めと守りの資産形成」「本音の株式投資」、「株式投資 長期上昇の波に乗れ!」(いずれも日本経済新聞出版社)等。
