世界的に地政学リスクが意識され、インフレや金利の先行きが読みにくい局面では、あらためて金(ゴールド)への関心が高まる。実際、足元では金価格が再び最高値圏にあることも話題だ。もっとも、金を単体で「安く買って高く売る」対象として捉えると、タイミングに翻弄されやすい。これまでも述べてきた通り、金はポートフォリオの「主役」というよりも、性格の異なる資産を組み合わせるための「名バイプレーヤー=脇役」として位置づけるのが基本だ。
そこで今回は、「金を組み入れたバランス型ファンド」に注目したい。実は一口にバランス型といっても、その設計思想は大きく2つに分かれる。ひとつは、金を「緩衝材」として組み込み、ポートフォリオ全体の値動きを抑えるタイプ。いわば「守りの金」である。もうひとつは、株式と金の双方に積極的に投資を行い、運用効率の向上を狙うタイプ。こちらは「攻めの金」と言える。
同じ「金を組み入れたバランス型」でも、一見すると似たカテゴリーに見えるが、目指しているゴールは微妙に異なり、向いている投資家も実は違う。それでは順番に見ていこう。
金を「緩衝材」として組み入れるタイプ:守りの金
1つ目は、分散投資によって値動きの振れ幅を抑えることを目的に、緩衝材として金を取り入れる、オーソドックスなタイプだ。金をポートフォリオの一部として取り入れ、株式や債券といった伝統的資産と組み合わせることで、相場環境が変わっても極端な偏りが生じにくいように設計されている。
これらのファンドに共通するのは、全体を100%とした枠の中で資産を組み合わせている点にある。金はあくまでその一部として組み込まれる。
金は株式と価格変動の源泉が異なり、結果として値動きも異なるケースがある。特に近年は、株式市場の下落局面ほど下値抵抗力を発揮する傾向にある。完全な逆相関になるわけではないが、資産分散の一環として一定の効果が期待できるというわけだ。
投資初心者にとってのメリットは明確だ。自分で「株何%、債券何%、金何%」と考えなくても、あらかじめ配分が考えられている。このタイプは、「大きく増やす」よりも「大きく減らさない」ことを重視する投資家にも向いている。資産形成の土台としても活用できる商品と言える。
ただし、「守りの金」とひと口に言っても、金の組み入れ方や配分の考え方はファンドごとに異なる。大きく分けると、あらかじめ資産配分を定め、その比率を基本的に維持する「固定配分型」と、市場環境や金利動向などを踏まえて配分を調整する「可変配分型」がある。可変配分型は、環境変化に対応する柔軟性がある一方、その判断基準によってファンドの性格は微妙に異なる。各ファンドの特徴や、金の組入比率については表を確認いただきたい。
●金を組み入れる各ファンドの特徴、金の組入比率、1年リターン
直近の金の組入比率を確認すると、可変配分型についてはファンド間でばらつきがあることが分かる。「ROBOPROファンド」のように直近ではゼロ%としているものがある一方、「全世界株式/日本株式・ゴールドアロケーションファンド」のように上限近くまで金を組み入れているものもある。そこには各ファンドの運用方針の違いだけでなく、金の上昇余地に対する見方の違いも反映されている。

