台湾有事をめぐる首相発言をきっかけに、中国がレアアースの輸出管理を厳格化したことで、経済安全保障と資源確保が喫緊の課題となっています。
そんな中、南鳥島において、レアアースを含んだ「レアアース泥」を海底から採取したことが報じられました。
政府が進めるレアアース投資は、投資判断においてどのように活用したらよいでしょうか。
つばめ投資顧問のアナリストの元村浩之さんが解説します。
※本記事は3/3につばめ投資顧問にて公開された「【レアアース国産化】注目銘柄を解説(JAPEX/東洋エンジ/住友金属鉱山/大同特殊鋼)」を編集の上、元村氏による特別コメントを付して掲載しております。
「テーマ投資」には要注意【特別コメント】
南鳥島沖でレアアース泥の試験採掘に成功したというニュースは、日本の資源安全保障という観点から非常に大きな意味を持つ出来事でした。ただし現時点では、株式市場ではテーマ投資として注目されている側面が強いと言えるでしょう。
テーマ投資とは、特定の社会トレンドや技術革新、政策の方向性などを背景に、将来の成長が期待される分野に資金が集まる投資のことです。過去にはインターネット、EV、AI、再生可能エネルギーなどが代表的なテーマでした。こうした投資は、大きな構造変化が長く続く場合には大きなリターンにつながる可能性があります。一方で、期待が先行し、実際の業績が追いつかないまま株価だけが上昇するケースも少なくありません。
レアアースはEVモーターや電子機器などに不可欠な素材であり、世界の供給や精錬は中国への依存度が高いという特徴があります。そのため日本にとっては戦略物資であり、南鳥島の資源は供給リスクを下げる可能性を持っています。ただし深海5700メートルからの採掘には大きなコストがかかると見られており、商業化は2030年頃が目標とされています。技術開発やコスト低減が進めば大きな産業になる可能性はありますが、現時点ではまだ長い時間軸のプロジェクトです。
テーマ投資で重要なのは、まず構造変化がどれくらい続くのかという時間軸を考えることです。さらに、その変化が企業の利益にどのようにつながるのかを冷静に見る必要があります。例えばレアアース関連でも、調査や採掘に関わる企業、精錬を行う企業、材料として利用する企業など、サプライチェーンのどこに位置するかによって恩恵の受け方は大きく異なります。
また、レアアースのような資源テーマは「国策銘柄」として語られることもあります。国策は需要を生みやすい一方で、必ずしも採算性が最優先されるわけではありません。安全保障や供給確保を目的として事業が進む場合、企業の利益がすぐに拡大するとは限らない点には注意が必要です。
資源テーマは非常に魅力的に見えることがあります。しかし投資家としては、ニュースの盛り上がりだけで判断するのではなく、サプライチェーンの構造、コスト、そして収益化までの道筋を丁寧に見極めることが重要ではないでしょうか。
