投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。
SBI証券の投信販売金額人気(週間)の2026年6月第1週(6月1日~6月5日)のトップは前週と変わらず、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)だった。第2位には前週第3位だった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が上がり、前週第2位だった「SBI NASDAQ100インデックス・ファンド」は第3位に後退した。前週第7位だった「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が第5位に上がり、前週第8位だった「ニッセイSOX指数インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」が第7位に上がった。
※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/6/1~2026/6/5。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&OutSide=on&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&file=index.html&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price
大型IPOの指数採用、「S&P500」と「NASDAQ100」の違いは?
6月第1週(1日~5日)は、週前半こそ日米の主要株価指数が史上最高値を更新する堅調なスタートだったものの、米国とイランの戦闘終結に向けた交渉がはかどらないこと、また、週後半にはハイテク株相場の主たるけん引役の1社だったブロードコムの決算が不振だったため、半導体関連株やAI関連株に利益確定の売りが出て「NASDAQ総合」が大幅に下落した。また、週末(5日)に発表された米5月の雇用統計では非農業部門雇用者数が17.2万人増と市場予想の8.5万人増を大幅に上回る結果となり、堅調な雇用情勢から米国の高金利状態が長期化するという見方も強まり、米国株の押し下げに働いた。
SBI証券の売れ筋ランキングではハイテク株の比率が高い「NASDAQ100」連動型の「SBI NASDAQ100インデックス・ファンド」(設定はSBIアセットマネジメント)や「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」(ニッセイアセットマネジメント)がランクを下げ、より広い業種に投資する「S&P500」連動型の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセットマネジメント)や「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」(SBIアセットマネジメント)がランクアップした。
「NASDAQ100」と「S&P500」では大型のIPO(新規上場)銘柄への対応で対照的な動きがあった。「NASDAQ100」では2026年5月1日から「ファストエントリー」を導入し、「NASDAQ100」構成銘柄の上位40位以内に入る大型IPOについて、最短で上場後15営業日で指数に採用する。従来は、最低3カ月の待機期間が設けられ、原則として12月の定期入れ替えのタイミングで指数に採用されていたことから、大幅に指数採用までの期間が短縮された。「S&P500」では大型IPOに関するルール改定の検討を行ったものの6月にルールを変更しないことに決定した。「S&P500」では米国の主要取引所(NYSE、NASDAQなど)に少なくとも12カ月上場していること、そして、直近四半期が黒字、かつ、直近4四半期の合計利益が黒字であることというルールが尊重される。
この「NASDAQ100」と「S&P500」のルールの違いによって、かつては、2010年6月にNASDAQに上場した「テスラ」が、「NASDAQ100」では2013年7月に指数に採用されたものの、「S&P500」では収益性のルールの採用基準に満たなかったことから2020年12月まで指数採用が遅れた。この7年間に「テスラ」の株価は約25倍にも上昇し、この間の成長が「S&P500」では得られなかった。もちろん、ただ規模が大きければ指数に採用する「NASDAQ100」の場合は、前評判ばかりが先行し、上場後に業績不振や企業存続にかかわる危機に陥る企業であっても指数に組み入れてしまうため、指数の価格変動率が大きくなるというデメリットもある。
ただ、既に上場申請をした「SpaceX」や「Anthropic」、そして、それに続くとみられる「Open AI」など、超巨大IPOが控えている今、「NASDAQ100」への注目度が高まっている。6月第1週のランキングでは、「AI関連に集中し過ぎた市場から、出遅れた金融などに物色の範囲が広がる」という見方から「S&P500」の巻き返しが鮮明だったが、米国株への投資の選択肢として「NASDAQ100」と「S&P500」は、今後も競い合うことになりそうだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

