投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。

SBI証券の投信販売金額人気(週間)の2026年7月第3週(7月13日~7月17日)のトップは前週と変わらず、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)だった。第2位は前週第3位だった「SBI 日本株4.3ブル」が上がり、前週第2位だった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第3位に後退した。第4位には前週第6位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」が上がった。また、トップ10圏外から「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第5位に、「楽天日本株4.3倍ブル」が第6位にランクインした。一方、前週第4位だった「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は7位に、第9位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」はトップ10圏外に落ちた。

※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/7/13~2026/7/17。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&OutSide=on&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&file=index.html&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price

大型ハイテク株に試練

7月第3週(13日~17日)は、トランプ米大統領がホルムズ海峡でイラン船舶封鎖を再開すると発表したことで中東を巡る地政学リスクが再び意識され、かつ、前週NASDAQにADRを上場したSKハイニックスが週初に9%超急落したことで半導体株全般に弱含む展開となった。週を通じて米国とイランの間の交渉に進展の兆しはなく、WTI原油先物価格は週初に1バレル=78ドル台に跳ね上がり、週末は82ドル台にまで上昇した。

また、ハイテク株はIBMが利益見通しを引き下げたことで14日に20%超急落し、16日には台湾のTSMCが好調な決算だったにもかかわらず設備投資計画を増大させたことが嫌気されて株価が2%超下落した。また、16日にはアルファベットが新型AIモデルのリリースを延期したとの報道で4%超下落するなど、テクノロジー株に弱気の材料が続いた。

この地政学リスクの高まりと米大型ハイテク株の不振は、半導体株を中心に株価が大幅に上昇していた国内株式市場を直撃した。日経平均株価は週前半こそ堅調だったものの、16日、17日にかけて2日連続で急落し、週末(17日)には一時4000円超の大幅下落となり6万2000円台を付ける場面もあった。

SBI証券の売れ筋ランキングでは、この市場の動きをストレートに反映したのは「eMAXIS 日経半導体株インデックス」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)だった。7月17日の日経平均株価は半導体株が中心だったこともあり、17日の下落だけで基準価額は9.85%下落した。トップ10からすべり落ちた「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセットマネジメント)も含めて、半導体やAI関連の大型テクノロジー株への投資比率が高いファンドは、パフォーマンスが厳しい局面を迎えている。

大型ハイテク株の影響が大きいのは、ランキングトップの「オルカン」(三菱UFJアセットマネジメント)や第3位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセット)にもいえることだ。また、日経平均株価の急落を受けて「SBI 日本株4.3ブル」(SBIアセットマネジメント)は17日に基準価額が17.84%下落するという大幅安にもなっている。このような変動は、市場の流れを大きく変えるきっかけになりやすい。来週以降に半導体・AI関連株人気が復調するかどうか、その推移を注目したい。

ピークから20%超下落した「金(ゴールド)」の行方は?

年初の段階では人気が高かったゴールド(純金)連動型のファンドも前週はトップ10から姿を消した。金価格は2026年1月29日まで連続して史上最高値を更新していたが、翌1月30日に金(スポット)価格が前日比約11%下落したことをきっかけに低迷することになった。

「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」の基準価額は2026年3月3日に2万9876円のピークをつけたが、6月30日時点ではピーク比マイナス21.64%になっている。金に対する中央銀行による外貨準備としての需要は依然として根強く、宝飾品など個人需要もインドや中国から継続的な需要が確認されているものの、ETFを通じた投資目的の資金需要が減退している。2026年1月まで一本調子に価格上昇が続いてきた後だけに、投資対象として金が再び注目を集めるまでにどの程度の期間、あるいは、値幅の調整が必要であるのか予測することは難しい。インフレの高止まりや主要法定通貨の信認低下などを背景に、金を含む実物・代替資産への資産配分を行うという投資需要は消滅することはないだろう。再び金に対する投資需要が高まるのか、それとも、REIT(不動産投信)やインフラ関連株などに資金が向かうのか、株式や債券以外の代替資産関連の動向にも注目は怠れない。

執筆/ライター・記者 徳永 浩