投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SBI証券。
SBI証券の投信販売金額人気(週間)の2026年9月第2週(9月7日~9月11日)のトップ5は前週と変わらず、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」、「SBI 日本株4.3ブル」、「iFreeNEXT FANG+インデックス」だった。第6位には前週第7位だった「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が上がり、第7位には前週第9位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が上がった。前週第6位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は第8位に後退した。第10位にはトップ10圏外から「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」がランクインした。
※SBI証券サイト内「販売金額人気ランキング」に基づき編集部作成。期間は2026/9/7~2026/9/11。
https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETmgR001Control&_DataStoreID=DSWPLETmgR001Control&_PageID=WPLETmgR001Mdtl20&_ActionID=DefaultAID&getFlg=on&burl=iris_ranking&cat1=market&cat2=ranking&file=index.html&dir=tl1-rnk%7Ctl2-fund%7Ctl3-resrank%7Ctl4-price
「日経平均」ランクダウンで米株ファンド浮上
9月に入って米国とイランの間で戦闘が再開されたことで原油価格が急上昇し、世界的なインフレ懸念が再燃。長期金利が上昇するとともに、株価が下落した。8月末から9月11日までの2週間で、WTI原油先物価格は1バレル=85ドル台から100ドル超えに16%超上昇し、米10年債利回りは4.7%から4.97%に2023年10月以来の高水準に上昇した。長期債利回りは、独10年債利回りが3.3%台から3.5%台に上昇し、2009年8月以来の高水準を記録。国内新発10年国債利回りも9月2日に1996年9月以来となる3.00%の大台に乗せた。金利上昇を受けて世界の株価は下落し、米「S&P500」は9月11日までに8月末比で0.38%安、「NASDAQ総合」も0.14%安となった。8月末比で9月11日までに、国内の「日経平均」は3.47%安と比較的大きく下落し、「TOPIX(東証株価指数)」は3.01%安、欧州の独「DAX」は2.63%安、英「FTSE100」は1.61%安だった。新興国も中国「上海総合指数」は2.46%安でインド「sensex30」は2.83%安だった。
9月第2週の売れ筋ランキングは、世界の主要株式市場の中で、比較的下落率が小さかった米国の市場に対して引き続き市場のリーダーとしての働きを期待する機運が高まっているように感じられる。米国市場のけん引役であった半導体関連株を代表する「SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)」は8月末比で9月11日には2.50%高とやや反発していることも支援材料。ただ、米国にはイランとの戦闘の他にも、隣国カナダとの間の関税戦争といえる経済的緊張もあり、さらには、9月24日に予定される米中首脳会談や11月3日の中間選挙に向けて「トランプ配当金」のような予期せぬ材料が飛び出して市場の混乱要因となる可能性もあるため、2023年~2025年のように「S&P500」や「NASDAQ100」を買って保有しておけば安心というような市場とはいえなくなっている。
「オルカン」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(いずれも設定は三菱UFJアセットマネジメント)、さらに、「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセットマネジメント)、「SBI NASDAQ100インデックス・ファンド」(SBIアセットマネジメント)など、「マグニフィセント・セブン(M7)」と呼ばれる米国超大型テクノロジー株式の動向に影響を受けやすいインデックスファンドがランキングの上位を占めているが、これは、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」(三菱UFJアセット)や「楽天 日本株4.3倍ブル」(楽天投信投資顧問)など日本株ファンドがランクを落としたことによる繰り上がりの要素が強い。
むしろ、「M7」への投資比率が非常に低い「世界のベスト」(インベスコ・アセット・マネジメント)が基準価額の下落(8月末比で9月11日は6.56%安)にもかかわらず、売れ筋ランキングでランクアップしている事実に注目したい。SBI証券を通じて投信を購入する投資家は、日本株に対する行き過ぎた評価に冷静になった一方、世界の株式に分散投資するアクティブファンドに足がかりを求めている。これから第4四半期(10月-12月)に向けて市場がどのように変化していくのか、非常に見通し難い展開になっている。
「ゴールドファンド」人気復活の背景は?
「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」がトップ10にランクインしたことにも注目したい。世界的に金利が上昇している局面では、金利が付かない純金(ゴールド)の価値は低くなる傾向にある。実際に金利が上昇傾向を強めている足元での金価格は弱く、「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」基準価額は、8月末比で9月11日時点は7.32%安と9月に入ってからの下げは大きくなっている。それでも売れ筋ランキングのトップ10に食い込んできたのは、この下げ相場を「押し目買い」の好機と判断する投資家が一定数存在することが感じ取れる動きだ。
「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」は8月に月間で10.62%高と大きく反発し、グローバルな金取引市場での純金の取引高も8月は「1日あたり4315億米ドルと前月比21%増加」(ワールド・ゴールド・カウンシルの集計)の好調さを示した。米国とイランの戦闘再開によって9月の純金価格は下落しているものの、市場の先行きが不透明な中では、いずれ純金の価値が見直される局面が遠からず訪れるという見方も根強いのだろう。ここで期待されている「純金の再評価」は株式市場の乱高下への備えという意味合いが強いため、株式ファンドにとっては警戒信号だ。純金価格への目配りは常に欠かせない。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

