投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、ゆうちょ銀行・郵便局。
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋(販売金額・1カ月)の2026年7月のトップは「大和ストック インデックス225ファンド」だった。5月以来3カ月連続でトップを維持している。第2位には前月第8位だった「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券ファンド2026-06(限定追加型)【愛称:ますますグロタ2026-06】」が浮上し、前月第2位から第4位までのファンドが1ランクずつ後退した。第3位以下は「iFree S&P500インデックス」、「つみたて日本株式(TOPIX)」、「つみたて全世界株式」だった。前月第5位だった「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は第8位までランクダウンした。また、前月第10位だった「JP4資産バランスファンド 成長コース(愛称:ゆうバランス)」がトップ10圏外に落ち、代わって「JP4資産バランスファンド 安定成長コース(愛称:ゆうバランス)」が第10位にランクインした。
※ゆうちょ銀行サイトのファンドランキングの「販売金額」「1カ月」に基づいて編集部作成。対象期間:2026年7月1日~7月31日。
https://qw159.qhit.net/jp-bank.japanpost.jp/qsearch.exe?F=tp/fundRanking
「ますますグロタ」の着実なリターンに注目
ゆうちょ銀行・郵便局の2026年7月の売れ筋ランキングで期間限定型債券ファンドの「ますますグロタ2026-06(限定追加型)」(設定はHSBCアセットマネジメント)が第2位に食い込んで異彩を放っている。ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋の上位は株式インデックスファンドで定着していて、株式インデックスファンド以外が上位に食い込むことは珍しい。ただ、「ますますグロタ」は同じ商品内容でおおむね半年ごとに設定され、2025年5月のランキングでは「ますますグロタ2025-05」がトップに立つということもあった。「ますますグロタ2026-06」は6月16日に設定され7月28日までが募集期間にあたっていた。
「ますますグロタ」は、日本を含む世界各国の企業等が発行する債券に投資し、原則として約5年間の投資サイクルの間に償還する債券に投資して償還まで持ち切る。ファンド全体の平均格付けは「投資適格」(BBBマイナス以上)をめざす。主にドル建ての債券に投資するが原則として対円で為替ヘッジを行い為替リスクは回避する。このため、1投資サイクルの5年間を保有し続けた場合の想定利回りが設定後におおむねわかる仕組み(為替ヘッジをしても為替リスクを完全に排除できるものではなく、かつ、投資先企業のデフォルトリスクはある)。ファンドの償還まで合計4回の投資サイクルがあり、それぞれの投資サイクルで当初1カ月間程度の期間にのみ購入申し込みができる。
前回2025年12月に設定された「ますますグロタ2025-12」は設定時のポートフォリオで、第1投資サイクル(約5年間)の平均最終利回り(米ドルベース)が年4.81%、為替ヘッジコスト(米ドル円、5年固定)が年2.20%、信託報酬(年率、税込み)年0.693%を差し引いて実質の平均最終利回り(円ベース、信託報酬控除後)が年1.92%程度だった。そこから6カ月が経過したものの、この間の世界の債券市場に大きな動きはなく債券利回りはほぼ横ばいと考えられるが、為替ヘッジコストは日米の金利差の縮小(日本が利上げ、米国は据え置き)によってコストが低下している。このため実質的に年2%程度の利回りが期待できる。定期預金よりもやや上の利回りで、かつ株式ほどリスクが高くない商品としてゆうちょや郵便局の窓口で支持されているのかもしれない。
このような高いリターンではなく、計算できる着実なリターンを求める投資ニーズが高まっているのは、投資家の間に株安などのリスクを警戒する気分が強まっていることをうかがわせる。それは、ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋ランキングの第10位で同じバランスファンドの「ゆうバランス」(ゆうちょアセットマネジメント)でリスクを積極的にとる「成長コース」がランクダウンし、「安定成長コース」がランクアップしたことにも表れている。また、株式インデックスファンドの中でも比較的リスクが高いと考えられる「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」(大和アセットマネジメント)は前月の第5位から第8位にまで3ランクダウンしたのも、同様に株式の価格変動率の高さが嫌われたためだろう。株式市場が不安定な状態にあることが、投資家のリスク回避姿勢を強くさせる結果につながっているようだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

