投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、ゆうちょ銀行・郵便局。
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋(販売金額・1カ月)の2026年5月のトップは「大和 ストック インデックス 225ファンド」が浮上し、前月トップだった「iFree S&P500インデックス」は第2位に後退した。第3位以下は「つみたて全世界株式」、「つみたて日本株式(TOPIX)」、「つみたて先進国株式」の順で変わらなかった。トップ10圏外から「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」が第7位にランクインした。第6位には「JP4資産均等バランス」、第8位に「野村世界6資産分散投信(成長コース)」など、バランス型ファンドの順位には大きな変動はなかった。
※ゆうちょ銀行サイトのファンドランキングの「販売金額」「1カ月」に基づいて編集部作成。対象期間:2026年5月1日~5月31日。
https://qw159.qhit.net/jp-bank.japanpost.jp/qsearch.exe?F=tp/fundRanking
「日経225」と「NASDAQ100」に人気
ゆうちょ銀行・郵便局の2026年5月の売れ筋ランキングで異彩を放っているのは、トップにある「大和 ストック インデックス 225」(設定は大和アセットマネジメント)と第7位にランクインした「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」(大和アセット)だ。インデックスファンドが売れ筋トップ10の上位5を占めるのが当たり前になっているものの、そのインデックスファンドは、「TOPIX(東証株価指数)」、「MSCIコクサイ(先進国株式インデックス)」、また、「MSCI ACWI(全世界株式・オールカントリー)」という、いわゆる国内投信市場で王道といえる株式インデックスに連動するファンドだった。
「NASDAQ100」が王道の株式インデックスと異なるのは、その値動きの激しさだ。価格変動リスクが一段高いファンドになっている。ランキングトップの「大和 ストック インデックス 225ファンド」の2026年5月末時点でリスク(標準偏差)は過去3年で21.30。「iFree S&P500インデックス」(大和アセット)は同16.45、「つみたて全世界株式」(三菱UFJアセットマネジメント)は同14.45、「つみたて日本株式(TOPIX)」(三菱UFJアセット)は同13.57、「つみたて先進国株式」(三菱UFJアセット)は同14.70という水準だった。「日経225」を除くと、おおむね15前後という水準に収まっている。「NASDAQ100」は「日経225」に匹敵する(3年)が21.19というリスクがあり、価格変動リスクが大きい。
「NASDAQ100」の価格変動リスクが大きくなっているのは、一部の銘柄への集中度が高いという構造によるものだ。「NASDAQ100」では上位5銘柄(エヌビディア、アップル、マイクロソフト、アマゾン、マイクロン・テクノロジー)合計の組入比率が27.4%になる。「日経225」では上位5銘柄(ファーストリテイリング、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、TDK)で39.0%になっていて、これら一部の銘柄の価格変動の影響を指数が受けやすいという構造になっている。業種別構成比では「NASDAQ100」は情報技術に53.1%と集中し、これは、「日経225」が電気機器と情報・通信業で合計49.1%を占めている構造に似ている。
上位5銘柄への集中度合いは、「つみたて日本株式(TOPIX)」では13.6%、「つみたて全世界株式」で16.6%、「つみたて先進国株式」で20.0%、「iFree S&P500インデックス」は25.7%になっている。「S&P500」は集中度が高まっているが、「TOPIX」や「全世界株式」は依然として分散の利いたポートフォリオになっている。
「貯金に利息が付く時代」の資産運用は?
ゆうちょ銀・郵便局では売れ筋の半分を株式や債券に分散投資するバランス型ファンドが占めるように、分散投資でリスクに目配りしつつ、安定的にリターンをあげていくというファンドが好まれている。その点では「大和ストックインデックス225ファンド」や「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は、リスク管理よりもリターンを重視したファンド選択といえ、現状ではリターン重視のファンドがより好まれている状況だ。
日銀の利上げによって、国内の預貯金金利の見直しも進んでいる。ゆうちょ銀行では、8月10日から貯金金利のベースといえる通常貯金の金利を年0.400%(従来は0.300%)に引き上げる。定期貯金の金利は発表待ちの状態だが、ネット銀行などの定期預金は年1.0%を超える水準になってきていることから、現在は1年で0.40%、3年で0.60%(半年複利で年平均0.605%)、5年で0.70%(同0.711%)、10年で0.90%(同0.94%)になっている定期貯金金利では半年複利で年平均1.0%を超える水準の金利になってくると期待される。ゼロ%金利が長く続き、預貯金では資産は増えないことが常識だったが、100万円を預ければ1年で1万円の利息が付く時代を迎える。
「貯金に利息がある時代」になって、ゆうちょ銀・郵便局の投信の売れ筋はどのような変化になるのだろうか? 5月のように「日経225」や「NASDAQ100」といったリターン重視のファンドが一段と存在感を増すのか? それとも、バランス型ファンドが巻き返すのか? 今後の変化を注意深く見守りたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

