投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、中国銀行。

中国銀行の投信売れ筋ランキング(窓口販売件数)の2026年5月のトップは前月第2位だった「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」になった。第2位には前月第4位だった「ニッセイ・パワーテクノロジー株式ファンド(3カ月決算・予想分配金提示型)」が上がった。前月トップの「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)は第3位に後退し、前月第3位だった「ROBOPROファンド」は第4位に下がった。また、前月第8位だった「ニッセイ・パワーテクノロジー株式ファンド」が第5位にジャンプアップし、トップ10圏外から「世界半導体関連フォーカスファンド」が第8位にランクインした。

 

※中国銀行の投資信託販売件数ランキングの「窓口販売」(2026年5月)に基づいて編集部作成。
https://www.chugin.co.jp/single/account/toushin_ranking/

分散投資型より一極集中型が人気

中国銀行の売れ筋でランクアップしたのは、「電力」に関する優れた技術やビジネスに着目するニッセイアセットマネジメントの「ニッセイ・パワーテクノロジー株式ファンド」や「半導体」関連に特化したSBI岡三アセットマネジメントの「世界半導体関連フォーカスファンド」といった一極集中型のファンドだった。積極的にリスクを取った投資を選択していることが感じられる。

成長株に厳選投資するものの、新興国を含む世界の株式から業種等を問わずに銘柄を選択する「WCM世界成長株厳選ファンド」(設定は朝日ライフ アセットマネジメント)や、世界の株式から「成長」「配当」「割安」の観点で優れた銘柄を厳選する「世界のベスト」(インベスコ・アセット・マネジメント)、また、株式以外に債券、不動産、金などに分散投資する「ROBOPROファンド」(SBI岡三アセットマネジメント)などはジワリと順位を落としている。リスク分散によって資産を守ろうとする姿勢が、現在の市場環境には物足りないと感じられたのかもしれない。5月の市場は、中東紛争によってリスク回避に動いた3月と比較すると、紛争終結に向けた協議が進展し、よりリスクが取りやすい環境になってきた。

「ニッセイ・パワーテクノロジー株式ファンド」は、AI需要の高まりによって一段と社会的な需要が増しているデータセンターの運営に欠かせない電力設備の設置や送電に関連する企業に投資するファンドだ。電力設備関連の企業は、公益事業として安定成長が期待される事業だったが、近年の爆発的なデータセンター需要によって成長産業として注目されるようになっている。

一方、「世界半導体関連フォーカスファンド」は日本を含む世界の半導体関連企業に特化して投資するファンドだ。半導体関連株は過去5年で最も大きな値上がりを記録しているセクターといえ、同ファンドの組み入れ上位銘柄でも「マイクロン・テクノロジー」は過去5年で1616.3%高、「アドバンスト・マイクロ・デバイセズ」は834.6%高、「ウエスタンデジタル」は928.3%高、「エヌビディア」は1789.6%高、「ブロードコム」は1415.9%など驚異的な株価上昇を記録している。

ファンドのパフォーマンスにも一極集中投資型と分散投資型で大きな違いが浮き彫りになっている。2026年5月1カ月間のリターンは、「ニッセイ・パワーテクノロジー株式ファンド」の5.61%、「世界半導体関連フォーカスファンド」の31.40%に対し、「WCM世界成長株厳選ファンド」は4.80%、「世界のベスト」は2.69%、「ROBOPROファンド」は1.82%だ。これが、過去1年間のリターンになると、「ニッセイ・パワーテクノロジー株式ファンド」の88.47%、「世界半導体関連フォーカスファンド」の257.66%に対し、「WCM世界成長株厳選ファンド」は48.54%、「世界のベスト」は29.02%、「ROBOPROファンド」は26.88%と大きな差が開く。

このパフォーマンスの差は、それぞれのファンドが担っている役割の違いでもある。一極集中投資型はより高いパフォーマンスを求めて投資タイミングを見極めて投資するファンドといえる。過去5年では異常に高いパフォーマンスを残している「世界半導体関連フォーカスファンド」は、半導体産業の好不調の波である「シリコン・サイクル」の約5年間の最終局面にあるため、いつ相場が崩れてしまうかわからないタイミングを迎えているといわれる。これに対し、分散投資型のファンドは景気の好不況にかかわらず安定的に比較的高いパフォーマンスが求められるファンドだ。投資のタイミングを問わず、中長期で投資するファンドに位置付けられている。

執筆/ライター・記者 徳永 浩