企業年金の運用の「見える化」の姿が見えてきました。厚生労働省が2026年3月末に「見える化」の項目を公表し、現在は、システム開発段階のようです。
「見える化」の対象はDBとDC
企業年金の運用の「見える化」は2023年12月の「資産運用立国実現プラン」で初登場した言葉です。もともとは、家計の金融資産が預貯金に偏っていることから、経済成長のドライバーとして「投資」に向かうことを企図したものでした。同時期に厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(第29回)で「加入者のための運用の見える化」を議論し、2025年6月に成立した令和7年年金改正法に情報開示項目として盛り込まれました※1。その後、厚生労働省年金局に「企業年金の加入者のための運用等の見える化に関する懇談会」が設置され、確定給付企業年金(DB)・確定拠出年金(DC)についての開示項目が2026年3月末に示されました。
※1 正式名称は「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する党の法律(令和7年法律第74号)」
開示項目は行政への提出項目が中心
DBの開示項目は、制度設計、給付実態、財政状況、資産運用状況等が確認できるもの、となっています。また、事業所名などは全事業所が開示対象ですが、制度設計、給付実態、財政状況、資産運用状況等については、加入者数100人以上または資産額10億円以上に限定されることになりました。
DCの開示項目は、制度情報、運用の方法・運用の指図にかかる情報、指定運用方法の状況、加入者資格喪失者の情報等となっています。DCについては人数要件や資産額等の限定はありませんが、対象者が10人未満の場合には非開示となる予定です。
こうした開示項目については、毎年行政に提出される情報(DBは事業報告書や決算に関する報告書、DCは記録関連運営管理機関を通じて提出される業務報告書)が厚生労働省で集約され、インターネットサイト上で公表されることになっています。
なお、従来の報告書には入っていなかった項目も含まれますが、制度の実施事業主が改めて用意する必要があるものはなさそうです。
