ポッドキャスト番組「投信フリーク」第7回はファンドアナリストの篠田尚子氏と海老澤 界氏が、2026年7月の投信動向から特に注目したいトピック、株式インデックスが抱える“本質”と“限界”を深掘りトークしました。
投信フリーク『#7スペースXの採用、NT倍率etc.「インデックス」は今、転換点を迎えている!?』から、一部を抜粋してお届けします(収録は7月10日)。
日経平均株価とTOPIXの乖離は2026年上半期の注目点
まず話題に上ったのは、2026年上半期の日本株式市場における日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)の乖離です。日経平均が「7万円突破」と大きく報じられる一方、TOPIXの上昇率は相対的に勢いに欠け、春先から両者の差が拡大しました。
この背景には両指数の根本的な設計の違いがあります。市場全体の時価総額加重平均で算出されるTOPIXに対し、日経平均は「株価そのものの平均(値がさ株の影響を受けやすい構造)」という特性を持っています。そこに足元のAI半導体関連銘柄(値がさ株)への資金集中が重なったことで、日経平均特有の歪みが一段と際立つ結果となったのです。
日経平均 ÷ TOPIX で算出するNT倍率という指標があります。2026年上期に17-18倍をつけることもあり、海老澤氏は「1980年以降で見ると、10〜14倍に収まることがほとんどでした。そのため今年の水準は異常といえます」と指摘。さらに「インデックスは株式市場全体を表すとされているのに、『これだけ日経平均が上昇していても自分の資産がそこまで増えている実感がない』という人が多いのも事実。だとすれば、そもそも日本株の指数は今のままでいいのか、私たちは今、一度立ち止まって考え直すべき局面に来ているのではないでしょうか」といいます。
スペースXの採否から見える、インデックスには「人が介在している」事実
そして、考え直すという点では、海外株式インデックスも同様です。
篠田氏は「これまでであれば、構成銘柄の将来性とその株式市場における時価総額のプレゼンスが概ね一致していたので、さほど違和感がなかったのですが・・・・・・」と前置きしたうえで、昨今のMSCI エマージング・マーケット・インデックスを例に次の課題を挙げました。「国別構成比率において、韓国や台湾の構成比率が上昇しました。これはサムスン電子(韓国)やTSMC(台湾)などの時価総額が急上昇した結果ですが、それがそのまま新興国市場全体の将来性を表しているかというと疑問が残ります。こうした時価総額加重平均のクセを理解し、投資家は『なぜこのインデックスに投資するのか』という原点に立ち返る必要があるのではないでしょうか」(篠田氏)。
これを受け、海老澤氏は2026年6月のスペースXの新規上場(IPO)とそれを巡る指数プロバイダー各社の対応も「ターニングポイントになりうる」と指摘します。
「S&Pは『上場から12ヵ月経たないと組み入れない』という厳しい基準を守り、S&P500にスペースXを組み入れませんでした。一方でMSCIやFTSE、ナスダックなどは特例的なルール適用も含めて各社の米国株指数への組み入れに踏み切りました。未公開株市場で評価額が膨らんだ巨大新興企業の利益確定の場としてパブリック市場が使われ、その受け皿にインデックスファンドが組み込まれている側面すら透けて見えます」(海老澤氏)。
篠田氏も「かつてテスラがS&P500に組み入れられた際も、すでに株価が高騰した後の段階だったため投資家から懸念の声が上がりました。ルールを作り運用するのも、それを変えるのも人間です。インデックス投資だからといっても合理的なことばかりではありません」と同意。
二人とも「インデックスは機械的に算出されているように思われがちですが、その裏側では指数プロバイダーによる『人間の判断』が介在しているという事実は押さえておいてほしい」と強調しました。
