投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、野村證券。
野村證券の投信(ファンド)人気ランキング2026年8月のトップには前月第2位だった「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」が上がった。前月トップの「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i 日経225)」は第2位に後退した。前月第3位だった「eMAXIS日経225インデックス」が第5位に後退するなど、国内株インデックスファンドの順位が下落している。第3位には前月第6位だった「eMAXIS S&P500インデックス」が上がり、第4位は前月同様に「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」が残るなど、米国の大型テック・グロース株人気が復調しているようだ。また、トップ10圏外から新設ファンドの「野村構造変化日本株ファンド」が第6位にランクインした。
※野村證券サイト「投資信託(ファンド)人気ランキング」の「買付金額トップ10」に基づいて編集部作成。期間:2026年8月1日~8月26日。
https://advance.quote.nomura.co.jp/meigara/nomura2/frankht1.asp
7月の新ファンド「構造変化日本株」が第6位にランクイン
野村證券の売れ筋ランキングで「Funds-i 日経225」(設定は野村アセットマネジメント)や「eMAXIS日経225インデックス」(三菱UFJアセットマネジメント)、また、「情報エレクトロニクスファンド」(野村アセット)など国内株ファンドの順位がランクダウンし、「ノムラ・ジャパン・オープン」(野村アセット)はトップ10から落ちてしまうなど、8月は国内株ファンドに対して厳しい見方が広がっているようにみえる。パフォーマンス自体は、「Funds-i 日経225」が3.1%高、「情報エレクトロニクスファンド」が4.2%高、「ノムラ・ジャパン・オープン」が2.2%高など総じて好調を維持していただけに、将来不安が台頭し国内株への投資を控えさせたと考えられる。
国内株式の不安要素の1つは、長期金利の上昇だろう。新発10年国債利回りは7月までは2.7%~2.8%の水準だったが、8月には2.9%台に乗せ、9月1日には1996年9月以来となる3%台に乗せる水準に上がった。約30年ぶりとなる高い金利水準になっている。米国とイランの紛争が長引き、原油輸送の重要な航路であるホルムズ海峡が事実上封鎖されているような状態となり、高騰した原油価格が落ち着く兆しが見えない中、国内のインフレ高進リスクが意識されている。加えて、日銀は「金利正常化」をめざして政策金利を引き上げる意思を明確にしており、インフレを助長する円安進行を食い止める意味でも利上げのタイミングをうかがっている。国内金利が上昇に向かう下地は整っている状況だ。
国内経済にとっては30年ぶりとなる金利水準によって、たとえば、企業の設備投資意欲が衰えないか、国民の住宅ローン負担増によって国内消費に影響が出ないかなど、金利上昇が景気を冷ますリスクに身構えることになる。
このように日本株ファンドに対する評価が下がる中で7月31日に新規設定されたばかりの「野村構造変化日本株ファンド」(野村アセット)が第6位にランクインした。同ファンドは、中長期的な構造変化として「マクロ環境の変化」、「政策・地政学の変化」、「技術革新」、「日本特有のビジネス機会」の4つの観点に着目し利益成長が期待できる国内株式に投資するファンドだ。8月末時点の組入上位10銘柄は、みずほフィナンシャルグループ、日立製作所、東京エレクトロン、アドバンテスト、キーエンス、三菱商事、ソフトバンクグループ、村田製作所、三井物産、信越化学工業となっている。組み入れ銘柄数は117銘柄になっている。
これは、「日経平均株価」(構成銘柄数225)の上位10銘柄のアドバンテスト、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、リクルートホールディングス、TDK、イビデン、KDDI、キオクシアホールディングス、フジクラとは大きく異なり、「TOPIX」(構成銘柄数1636)の上位10銘柄である三菱UFJフィナンシャルグループ、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループ、日立製作所、ソニーグループ、リクルートホールディングス、東京エレクトロン、みずほフィナンシャルグループ、アドバンテスト、ソフトバンクグループとも似て非なるものだ。インデックスと比較して銘柄を選別している様子がわかる。8月末時点の1カ月リターンでは「TOPIX」(3.8%)、「野村構造変化日本株ファンド」(3.3%)、「日経平均株価」(3.1%)の順だったが、今後にどのような違いが表れるのか注目したい。
エヌビディアは予想を上回る好決算
一方、ランキングトップに立った「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース」(フィデリティ投信)、前月の第6位から第3位に上がった「eMAXIS S&P500インデックス」(三菱UFJアセットマネジメント)など、いわゆる「マグニフィセント・セブン」といわれる大型テクノロジー株式を主要な投資対象としたファンドが再び注目されるようになっている。月次リターンでは「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」が3.0%、「eMAXIS S&P500インデックス」が3.3%となっており、国内株式ファンドと変わらないほどの成績だった。
「S&P500」は8月13日まで史上最高値を更新し、高値圏でもみ合っている底堅さが評価されているのだろうか。8月26日に決算発表を行ったエヌビディアが予想を上回る好決算だったことも安心材料になっていると考えられる。年初からのパフォーマンスで「日経平均株価」が8月末まで31.7%高、「TOPIX」が21.9%高と国内株が大きく上げる中で、米国株は「S&P500」が12.3%高、「NASDAQ総合」は13.5%高とやや見劣りする上昇率だったたけに、これから劣勢を挽回するような動きになるのか。今後の展開に注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

