モーニングスター提供のデータに基づいて2026年8月の純流入額(推計値)直近1カ月ランキングでは、トップ4は変わらなかった。トップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)」、第2位以下は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のベスト)」、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドD(毎月・予想分配・ヘッジ無)」だった。第5位は前月第6位だった「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が上がった。前月第5位だった「野村構造変化日本株ファンド」は第7位に下がった。第6位には前月第13位だった「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」がランクアップし、第8位には前月第15位だった「ノムラ・ジャパン・オープン」が上がった。一方、前月はランキングで第7位だった「JPモルガン・米国テクノロジー株式ファンド」、第9位だった「日経225ノーロードオープン」、第10位だった「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」などはトップ20から落ちた。
AI相場はまだ続く? 「グロース・オポチュニティ」優位の理由
純流入額トップ4は、毎月のつみたて投資の主要な対象となっているファンドと考えられ、よほど大きな市場環境の変化がなければ現在のポジションをキープし続けるだろう。特に、「オルカン」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセット)は、月次の純資金流入額が2000億円を超える巨大な資金流入が継続しているため、簡単に流入額のトップ2の座を追われることは考えにくい。ただ、資金流入額は7月と比較すると「オルカン」は11.29%減(7月4465億円→8月3961億円)、「S&P500」は7.14%減(同2171億円→2016億円)と減額している。
トップ4の中では、「世界のベスト(毎月決算型)」(インベスコ・アセット・マネジメント)の純流入額が7月の1587億円から8月は1813億円に拡大したが、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドD(毎月・予想分配・ヘッジ無)」(フィデリティ投信)は7月の1141億円から8月は966億円に減額している。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」と同様に「成長株」にフォーカスした「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」が12カ月連続の資金流出になっていることを考えると、「成長株(グロース)」に対する警戒感が出ているようにも感じられる動きだ。
ただ、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」と「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」を比較すると、投資対象が「世界株式(除く日本)」と「米国株式」という違いがあるものの、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は投資地域の84.5%(26年7月末時点)は米国であり、組入上位銘柄もエヌビディア、アルファベット、マイクロソフト、アップル、アマゾン、メタなど重なる部分が小さくない。もっとも、組入比率については大きな違いがある。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は「情報技術」に53.9%、「コミュニケーション・サービス」に20.3%とこの2業種で合計74.2%と集中投資している。「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は「情報技術」に34.3%、「コミュニケーション・サービス」に13.9%で2業種の合計は48.2%、「ヘルスケア」や「一般消費財・サービス」、「資本財・サービス」など比較的業種を分散している。
ポートフォリオの違いは、パフォーマンスの違いに直結していて「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は2026年8月末時点で過去1年のリターンが24.93%、過去3年が119.26%となっており、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は過去1年が15.74%、3年が65.49%だ。これは、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の1年30.44%、3年93.07%、「オルカン」の1年33.12%、3年91.99%と比較すると見劣りする。「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」は過去3年間のリターンが大きいだけに、現在の「情報技術」や「コミュニケーション・サービス」に集中したポートフォリオで、過去1年リターンの劣勢をはね返せるものか注目されるところだ。また、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は2006年5月設定の「Bコース(為替ヘッジなし)」の20年リターンでは「S&P500(円建て)」トータルリターンを上回る成績を残している。ここ数年のパフォーマンス面での劣勢を今後挽回できるかも注目点だ。
「オルカン」の5年リターンを上回る「世界のベスト」
一方、第3位の「世界のベスト(毎月決算型)」(インベスコ・アセット・マネジメント)は「成長」「配当」「割安」の観点から投資銘柄を選定するという運用方針とあいまって、「情報技術」、「金融」、「コミュニケーション・サービス」の比率が高い「S&P500」や「オルカン」、また、「情報技術」と「コミュニケーション・サービス」に集中している「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」とも違う構成だ。組入上位の業種比率は「資本財・サービス」25.7%、「金融」24.6%、「情報技術」11.7%となっている。地域別でも「米国」は46.2%で、「オルカン」の63.1%を大幅に下回っている。
「世界のベスト」のパフォーマンスは過去1年リターンが24.37%、3年が76.96%で「オルカン」を下回るが、5年リターンで157.17%と「オルカン」の145.94%を上回っている。つみたて投資で運用ポートフォリオの中核として位置づけられている「オルカン」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」とは、「世界のベスト」も「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」もかなり異なるポートフォリオで運用しているファンドだ。それだけに、「オルカン」などと分散投資の対象としても評価されていると考えられるが、8月の結果だけをみると、投資ターゲットを絞った「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」よりも、幅広く分散した「世界のベスト」が好まれているようだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

