投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、楽天証券のデータをもとに解説。
楽天証券の投信売れ筋ランキングの2026年7月のトップ4は前月と同じでトップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、以下は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「楽天 日本株4.3倍ブル」「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」だった。第5位には前月は第6位だった「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」が上がり、第6位にはトップ10圏外から「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」がランクインした。一方、前月第5位だった「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」は第8位にまで下がり、前月第9位だった「eMAXIS 日経半導体株インデックス」はトップ10から落ちた。
※楽天証券サイト「投資信託」「全銘柄ランキング(買付金額)」に基づいて編集部作成。期間:2026年7月1日~7月31日。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/find/ranking/ranking.html?term=m&target=all&age=all&x=114&y=5&type=500001&freqid=3&tget=1&group=all
「半導体関連株」に警戒感、日経平均は急落
楽天証券の2026年7月の売れ筋ランキングは、全般は様子見で従来の主力ファンドである「オルカン」(設定は三菱UFJアセットマネジメント)や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセット)、そして、国内株に対する強気姿勢を象徴する「楽天 日本株4.3倍ブル」(楽天投信投資顧問)などがランキング上位に居座る一方で、米国テクノロジー株式を象徴する「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」が順位を大きく下げ、「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセットマネジメント)も順位を落とした。また、国内の半導体関連株を代表する「eMAXIS 日経半導体株インデックス」(三菱UFJアセット)がトップ10圏外に落ちるなど、半導体関連株に対する支持率が下がった。
7月の主要な株価指数は、米国「S&P500」は0.13%安で弱含み横ばいだったが、「NASDAQ総合」は3.20%安と2カ月連続の下落となった。欧州株の英「FTSE100」は3.53%高、独「DAX」は2.53%高としっかり。国内株は「TOPIX」が0.21%高と横ばいだったものの「日経平均株価」は8.14%安と急落した。新興国では中国「上海総合指数」が6.40%安、インド「sensex30」は2.11%高とまちまちだった。
国内株で「日経平均株価」が急落したのは、この数カ月の間、国内の半導体株の上昇への依存度が高まっていたことの反動といえる。半導体株の象徴的な銘柄と意識される「キオクシア」は7月の1カ月間で株価が48.15%安と約半値の水準に下落。最も下押した7月29日には6月末比で57.20%安という水準にまで落ち込んだ。したがって、「eMAXIS 日経半導体株インデックス」は、7月に29.47%安と大幅に下落する結果にもなっている。一方、米国では「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」が6.57%安となったが、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は0.09%安と横ばいだった。
7月の国内株の東証業種別インデックスの推移をみると、AI・半導体関連が含まれる「鉄鋼・非鉄」や「電機・精密」が大きく下落した一方、「エネルギー・資源」、「自動車・輸送機」、「金融(除く銀行)」、「商社・卸売」などは上昇している。幅広い業種に分散している「TOPIX」が、一部の値がさ株に影響を受けやすい「日経平均株価」と比較してしっかりしていたのは、物色銘柄が変化する動きに業種分散で対応できたためだ。国内株ファンドでは株価の日々の動きに対して約4.3倍に動く「楽天 日本株4.3倍ブル」が1カ月間で39.34%安と大幅安になっても、売れ筋ランキングの順位をキープしているのは、株式市場の先行きに関しては悲観していないということなのかもしれない。
「オルカン」「S&P500」根強い中、アクティブにニーズ
一方、トップ10にランクインした「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(朝日ライフ アセットマネジメント)は7月1カ月間のパフォーマンス(分配金込み基準価額の推移)は4.75%安とマイナスだったものの人気は高まっている。これは、米「S&P500」は6月2日に最高値をつけて以来、「日経平均株価」は6月25日に最高値をつけて以来、株価が下押して高値奪還の見通しが見えず、しかも、これまでの主力であったAI・半導体関連株の中でも株価が好調な銘柄と株価が低迷する銘柄に分かれ始めていることもあって、アクティブファンドによる銘柄選定の効果に期待する動きが出てきているものと考えられる。
ただ、トップ2には根強く「オルカン」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が居座っているように、インデックスファンド投資を否定するような動きではなく、インデックスファンドを続けながら、一部をアクティブファンドに託そうという動きの始まりと見受けられる。このようなアクティブファンドの活用がどの程度ひろがっていくのかについても注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

