投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、みずほ銀行。

みずほ銀行の投信月間販売額ランキングの2026年8月のトップは前月第2位だった「キャピタル世界株式ファンド」が上がった。前月トップだった「One/ティー・ロウ・プライス インフレガード&オポチュニティ・ファンド(モデレートコース(標準))(愛称:IGO)」は第2位に後退した。第3位には前月第6位だった「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」が上がった。前月第3位だった「One/ティー・ロウ・プライス インフレガード&オポチュニティ・ファンド(オポチュニティコース(積極))(愛称:IGO)」は第5位に下がった。また、前月第8位だった「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカICA」は第7位に上がり、新設ファンドの「Oneグローバル債券ファンド2026-09(限定追加型)(為替ヘッジあり)」が第8位にランクインした。

 

※みずほ銀行サイト内「投資信託ランキング」の「月間販売額ランキング」に基づき編集部作成。期間:2026年8月1日~8月31日。
https://www.mizuhobank.co.jp/fund/ranking/index.html

過去1年リターン21%の「キャピタル世界株式ファンド」が首位

みずほ銀行の投信販売額ランキングで3カ月連続でトップを続けてきた「IGO(標準)」(設定はアセットマネジメントOne)が、8月にはトップの座を明け渡した。同ファンドは、国内株式、国内債券、世界株式(新興国含む)、世界債券、および、REIT(不動産投信)、リアルアセット関連資産(実物資産)、さらに、物価連動国債等に投資して「インフレ(物価上昇)」から資産を守りつつ、プラスアルファのリターンを狙うファンドだ。トップを走ってきた「モデレートコース(標準)」は日本のインフレ率を長期的に2%程度上回るリターン(リスクは年率9%程度)をめざす。「オポチュニティコース(積極)」はインフレ率を長期的に年率3%程度上回るリターンを目標としていることからも、積極的にリターンを狙って運用するファンドではない。インフレから資産を守ることに軸足を置いたファンドだ。設定から3カ月間の基準価額は、ほぼ横ばいで推移している。

「IGO」に代わってトップに立ったのは「キャピタル世界株式ファンド」(キャピタル・インターナショナル)で、世界の株式を投資対象にしたファンドだ。2026年8月末時点で過去1年間のリターンは21.62%になっている。世界の株式市場はおおむねインフレ率(消費者物価上昇率)を上回るリターンをあげてきた。たとえば、1960年から2021年までTOPIX(東証株価指数)配当込みリターンが年率7.3%だったところ日本の消費者物価上昇率は年率2.8%だった。また、2022年まで20年間の米S&P500(配当込み、米ドルベース)の年率平均リターンは11.3%だったが、この間の米消費者物価指数は年率平均2.5%だったなど、株式市場の上昇率はインフレ率を大きく上回っている。元本保証のない投信を購入するのであれば、より高いリターンが期待できるファンドを選びたいという心理が勝るのだろう。

また、「IGO」が登場する前まではトップを走っていた「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」(ピクテ・ジャパン)は、ピクテの投資カテゴリーでは「ちょっと欲張った投資」に分類されている。株式や債券に加え、金・その他コモディティにも積極的に投資してトップダウンで組み入れ比率を柔軟に見直すことによって安定的に高いリターンの獲得をめざすファンドだ。過去1年間のリターンは19.11%だ。内外の資産に分散投資するバランス型のカテゴリー(追加型/内外/資産複合)の中では高いリターン(1315本中で第381位)を獲得している。

8月の市場は、世界的に株式市場が比較的安定して上昇した1カ月間だった。その投資環境が株式ファンドなどリターンを追求するファンドへの投資を促したのかもしれない。これに対し、9月は米国とイランが再び戦闘状態に突入したこと、それによって原油価格が1バレル=100ドルを超えて上昇したこと、さらに、米国の10年国債利回りが5%台に乗せるなど、原油高をきっかけに世界的にインフレ再燃懸念が高まり金利が上昇傾向を強めている。このような環境変化が株式市場にとってはマイナス要因となり、9月は株価が下落傾向にある。この市場環境が再び「IGO」がめざす資産保全への関心につながるかもしれない。9月のランキングの変化に注目したい。

注目の“5年持ち切り”「債券ファンド」

新設ファンドの「Oneグローバル債券ファンド2026-09(限定追加型)(為替ヘッジあり)」は信託期間が約5年間で、信託期間中に満期を迎える債券を組み入れて、満期日まで保有し続ける運用を行う。このことによってポートフォリオを構築した時点で毎期まで保有した場合の平均最終利回りが計算できる。「為替ヘッジあり」コースの場合、7月時点で想定されるポートフォリオの平均最終利回りから、信託報酬(税込年0.7095%)や為替ヘッジコスト(年1.3%程度)などを差し引いた実質的な平均最終利回りは年2.67%程度という水準にあった。年2.7%に近い利回りが期待できるファンドは価格変動リスクを取りたくないと考える投資には魅力的な利回り水準と感じられたのだろう。2026年8月募集の個人向け国債の適用利率(税引前)は固定5年で年2.06%だった。国内においても金利で運用する環境ができつつあるが、「Oneグローバル債券ファンド2026-09」は、一回り高い水準が期待できる商品だった。

新設ファンドとして「Oneグローバル債券ファンド2026-09」の募集があったため、同じように資産を守る意識で運用する「IGO」への投資ニーズが分散する結果になったのかもしれない。「Oneグローバル債券ファンド2026-09」の当初募集期間は9月29日まで。9月30日から10月7日までが継続申込期間になっている。販売が本格化する9月に、同ファンドにどれほどの人気が集まるのかにも注目したい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩-