投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SMBC日興証券。
SMBC日興証券の投信売れ筋ランキングの2026年8月のトップは、前月第5位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)(愛称:世界のベスト)」が上がった。第2位には前月第4位だった「半導体関連 世界株式戦略ファンド(愛称:半導体革命)」が上がり、前月トップだった「日経225ノーロードオープン」は第3位に下がった。第4位は前月第7位だった「成長戦略フォーカス・ジャパン」が上がり、第5位にはトップ10圏外から「SMT グローバルREITインデックス・オープンがランクインした。そして、第6位には前月第8位だった「次世代通信関連 アジア株式戦略ファンド(愛称:THE ASIA 5G)」が上がった。一方、前月第3位だった「SMT 日経225インデックス・オープン」は第7位に、前月第2位だった「マテリアル・イノベーション戦略株式ファンド(為替ヘッジなし)」は第8位に下がった。
※SMBC日興証券サイトの投資信託ランキング「買付金額4(総合コース)」に基づいて編集部作成。期間:2026年8月3日~8月31日。
https://fund2.smbcnikko.co.jp/smbc_nikko_hp/fund/main/index.aspx?F=rnk_sales_gnr
日経225に代わって国内株は「成長戦略フォーカス」に
SMBC日興証券の売れ筋ランキング(8月)では、日経平均株価に連動するインデックスファンドがランクダウンし、代わって、グローバル株式アクティブファンドの「世界のベスト(毎月決算型)」(設定はインベスコ・アセット・マネジメント)や「半導体革命」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、「THE ASIA 5G」(三井住友トラスト・アセット)などがランクアップ。国内株式ファンドでもアクティブファンドの「成長戦略フォーカス・ジャパン」が順位を上げた。
日経平均株価連動型インデックスファンドがランクダウンしたのは、半導体株やAI関連株など一部の銘柄に物色が集中し、短期間に株価が上昇したことへの警戒感が台頭したためと考えられる。日経平均株価の月次リターンは2026年4月に16.1%高、5月に11.9%高と2カ月連続で2ケタ伸び、6月は5.6%高。そして、7月は8.1%安とマイナスに転じ、8月は反発したものの3.0%高と反発の勢いは弱かった。しかも、8月の後半になると新発10年国債利回りが約30年ぶりの高水準になるほど長期金利が上昇した。さらに、9月には日銀が政策金利を一段と引き上げるとの見通しも強まっているため、単純に国内株式の上昇を期待することは難しくなっている。
その中で、国内株式の中から日本政府の成長戦略・産業政策等の政策動向を踏まえて持続的な成長が期待できる企業に選別投資するというコンセプトの「成長戦略フォーカス・ジャパン」(三井住友DSアセットマネジメント)がランクアップしている。設定が2026年5月29日と新しいファンドだが、中長期的な成長期待が強いと考えられる。26年7月末時点の組入上位銘柄は、日本電気、レゾナック・ホールディングス、三菱電機、FOOD&LIFE COMPANIES、サイバーエージェントとなっており、日経平均株価の主要銘柄になっている半導体関連株、また、TOPIXでの組入比率が高い銀行などとは一線を画したポートフォリオになっている。
一方、「世界のベスト」や「半導体革命」など、外国株式を投資対象としたアクティブファンドの人気が戻ってきた。「世界のベスト」は「全世界株式(オール・カントリー)インデックス」や「S&P500」とは異なるポートフォリオへの評価が高い。「成長」、「配当」、「割安」という3つの観点から魅力的な銘柄を厳選するというコンセプトは、その安定的なパフォーマンスへの評価とともに、国民的なファンドとして定着しつつあるようだ。また、「半導体革命」は、8月に発表された半導体銘柄の象徴であるエヌビディアが市場予想を上回る好決算だったように、依然として世界の成長セクターとして力強い結果を出している。多少の押し目があっても成長路線への不安は小さいようだ。
「グローバルREIT」浮上は株式市場への警戒感?
8月のランキングで突如として第5位にランクインした「SMT グローバルREITインデックス・オープン」の人気化は少し理解が難しい。世界的に長期金利が上昇し、不動産に投資して賃貸収入で稼ぐというビジネスモデルが中心のREITにとっては向かい風の経営環境となっている。実際、同ファンドの8月1カ月間のリターンは3.5%安とマイナス成長だった。
もっとも、半導体株やAI関連株が急速に上昇した過去2~3年の間、REITは世界的に物色の外に放置され相対的に割安な資産になっている。また、中東情勢の緊迫化がもたらす原油価格の高騰は世界的なインフレ懸念を高めているが、インフレが高進するような環境は、「現物価値」としてインフレヘッジ性のあるREITの魅力を高める要因にはなる。
この数年、史上最高値を連続して更新してきた世界の株価に高値警戒感が台頭してきているため、リスクヘッジ手段の1つとしてグローバルREITにも一部の資金が流れたということなのだろうか。継続的な人気につながるかどうか、今後の動きをチェックしていきたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

