投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、マネックス証券のデータをもとに解説。

マネックス証券の投信売れ筋ランキングの2026年8月のトップには前月第2位だった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)が上がった。第2位は前月第4位だった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が上がった。前月トップだった「楽天日本株4.3倍ブル」は第3位に後退し、前月第3位だった「SBI 日本株4.3ブル」は第4位に下がった。「楽天日本株 4.3倍ブル」は2025年9月から11カ月連続で守り続けたトップを「オルカン」に奪われたことになる。また、前月第6位だった「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第5位に上がり、前月10位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が第6位にランクアップした。トップ10圏外から「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第9位にランクインし、前月第9位だった「eMAXIS 日経半導体株インデックス」はトップ10から落ちた。

※マネックス証券サイト内「ランキング一覧」の「月間売れ筋」に基づき編集部作成。期間は2026年8月1日~8月31日。
https://fund.monex.co.jp/rankinglist#MonthlySales

「オルカン」の安定を重視!? 「&P500」「日本株」より選ばれる

マネックス証券の売れ筋ランキングで2025年9月から11カ月連続でトップを維持した楽天投信投資顧問が設定する「楽天日本株4.3倍ブル」が第3位に後退した。代わって「オルカン」(三菱UFJアセットマネジメント)がトップに立ち、第2位には「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が第2位に上がった。純資産総額が13兆8000億円を超える国内最大の規模に成長した「オルカン」だが、マネックス証券の売れ筋ではトップには縁遠いファンドだった。主に「楽天日本株4.3倍ブル」か「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJアセット)がトップを交互に務めてきた。ネット大手の一角を占めるマネックス証券では、安定の「オルカン」よりも値幅が狙える「S&P500」や「4.3倍ブル」が好まれた。

実際に「楽天日本株4.3倍ブル」に投資した場合、連続トップが始まった2025年9月にエントリーしたとすると、基準価額は9月5日の時点で2万7832円だったが、ピークを付けた2026年6月19日までわずか9カ月余りで基準価額は16万4438円と5.9倍に上昇している。また、新NISAが始まった2024年1月時点での同ファンドの基準価額は2万円そこそこだったため、ここからどのタイミングでエントリーしたとしても、2026年になってから基準価額が6万円を上回る水準になれば継続保有したすべての投資家が含み益を獲得できた。もっとも、2026年のピーク近辺でエントリーした投資家は、既に基準価額が10万円の大台を割れてしまっているため手痛い含み損を抱えていることになる。

一方、「オルカン」は2024年1月時点では基準価額はくしくも「楽天日本株4.3倍ブル」と同水準の2万円そこそこだったが、24年12月末には2万7686円と32%高。そして、2025年4月のトランプ関税ショックで2万3124円まで下落した後は、おおむね一貫して上昇トレンドをたどり、2026年8月14日に3万9019円の最高値を付けている。トランプショックの安値から最高値までの上昇率は68.74%だ。「楽天日本株4.3倍ブル」のように3倍、5倍というような派手な上昇率ではない。ただ、同じトランプショックから直近8月高値までの上昇率では「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の上昇率67.34%をわずかに上回った。「S&P500」のもたつきが「オルカン」をトップに押し上げる要因の1つかもしれない。

「WCM」「世界のベスト」が選ばれる理由は?

一方、アクティブファンドである「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」(朝日ライフ アセットマネジメント)が第5位、「世界のベスト(毎月決算型)」(インベスコ・アセット・マネジメント)が第6位にランクアップしている。専門家の投資判断に頼りたいと考える投資家の期待は前月よりも高まった。

「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」は8月のパフォーマンスがプラス1.11%、「世界のベスト(毎月決算型)」はプラス0.73%だった。「オルカン」がプラス3.32%だったことと比較すると低リターンだったが、短期のパフォーマンスよりアクティブファンドのリスク管理能力に期待したランクアップであると考えられる。

8月は月末が接近するにしたがって米国とイランの軍事衝突の懸念が高まり、9月には両国が互いに攻撃し合う事態に至っている。この地政学リスクから資産を守りたいという意識は、当然ながら投資家の間で高まっていると考えられる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩