投資信託の良しあしを見定めるのは難しい。相場つきが悪くて短期的には成績が振るわなくても、長期で見れば優れた運用を行っている投信は存在する。逆に、波に乗って一時的に好成績を収めたものの、トレンド転換と共に一気に沈んでいく投信も少なくない。本シリーズ「探せ! あなたの“推し”投信」では、長期投信投資家に人気の投資信託の強さの秘訣を探る。

今回取り上げるのは、三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、愛称「オルカン」だ。低コストのインデックスファンドとして資産形成層の人気を集め、新NISAをきっかけにその人気にブーストがかかった。投資信託に詳しくなくても「オルカン」の名を聞いたことのある人は多いだろう。

純資産総額は7月10日現在で13兆830億円を超えている。現在、日本で発売されている公募投信の中では純資産総額でトップのファンドだ。なぜこれほど支持されているのか?  本稿ではその理由をひも解いていく。

「オルカン」はどんなファンド?

インデックスファンドとは、特定の指数と同じ値動きをめざして運用される投資信託を指す。銘柄選定を運用者の裁量に委ねるアクティブファンドと異なり、指数構成銘柄をそのまま組み入れるため運用コストを抑えることができるという特徴を持つ。

「オルカン」はこの分類に属するインデックス型の世界株式ファンドである。設定は2018年10月31日。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとし、日本を含む先進国・新興国の株式を1本でカバーする設計が特徴だ。運用は外国株式・新興国株式・日本株式の3つのインデックスマザーファンドへの投資を通じたファミリーファンド方式で行われる。

「オール・カントリー」を冠するインデックスファンドは複数あるが、その中でも最もメジャーなファンドといってよいだろう。

組入上位銘柄はNVIDIA(4.4%)、Apple(4.0%)、Microsoft(2.5%)、Amazom(2.3%)、Alphabet (CL A)(2.0%)、台湾セミコンダクター(1.8%)、Broadcom(1.6%)など(2026年6月30日現在)。インデックスというと均等にすべての銘柄に投資するファンドを思い浮かべるが、「オルカン」がベンチマークとするMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)は時価総額が大きい企業ほど指数に与える影響が大きくなる「時価総額加重型指数」である。そのため、組入上位10カ国・地域ではアメリカが63.0%を占め、業種別でも現在は情報技術が31.0%(いずれも2026年6月30日現在)と大きな割合を占めている。「時価総額加重型」は市場の実態を反映しやすい計算方法と言われており、現在は多くの指数がこの方式を採用している。

運用管理費用(信託報酬)は年率0.05775%(税込)以内で、購入時手数料・信託財産留保額はいずれも無料。設定当初の信託報酬は年率 0.11330%だったが、2023年に信託報酬の値下げを実施して当時の業界最安値水準となり、大きな話題を呼んだ。

受賞歴を見てみよう。「個人投資家が選ぶ!Fund of the Year 2025」では「インデックス部門・総合部門(参考)・投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year部門(参考)の3部門で1位を受賞した。「Fund of the Year」では2019年から7年連続の1位を獲得している。

NISAでは成長投資枠およびつみたて投資枠の対象商品である。